評者:羽藤英二 都市をつくるこの記事を読んで,ストリートを愛したジェイコブズの言葉 「都市の起源は黒曜市である」を思い出した. 建築家が設計する建築は,黒曜石と言えようが,内藤廣は,その黒曜石を売る市を,設計することを希求した.市は商いをするための広場やバザール,売買を支える制度など,さまざまな要素から構成される. ただし,今黒曜市に集う人はどこにもいない.黒曜石に価値がなくなったからだ. 土地に自然するナチュラルリソースと人を集める市の磁性は,都市の本質を指し示しているが,その磁力には賞味期限がある. 上海,シンガポール,深圳,雄安新区,東京を取り巻くアジアの都市間競争は激化している.五島慶太がつくった渋谷はその盛衰をかけて,賭けに出たと言っていい.フォスター+パートナーズやザハ事務所が,世界中の都市設計競技において,まったく新たな都市と建築の関係を提案する中,日本では,建築家が都市から
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