『風の歌を聴け』再々読 『風の歌を聴け』を15年ぶりに再読したのはちょうど1年前。決してハルキストとは言えなかった僕は「はしか」に掛かったかのように読み直していって、パロディらしきものも書いたり、『風の歌を聴け』を題材にした読書会を実施したりもした。 それでも、僕が高校生の頃から圧倒的に好きだったのは続編の『1973年のピンボール』であり、本書の印象は正直なことを言えば薄かった。評価が逆転したのは良くも悪くも「『風の歌を聴け』はミステリー小説である」という読み方をいくつかの評論文から提示されてからである。 僕自身も「『風の歌を聴け』を読んでも何も感じない人間の側」に居たのだ。今村夏子のピクニックを読んでも何も感じない人間のように。 完璧な読解などといったものは存在しない 「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」 風の歌を聴け (講談社文庫) 作者:村上