なぜこの歳でも高勝率を維持できるのか 羽生善治氏は、プロ将棋の7大タイトルの全てに「永世」称号を持ち、現在、賞金額最高のタイトルである竜王を保持するトップ棋士だ。中学生でプロデビューした時から驚異的な勝率を長年記録している。大多数の将棋ファンは羽生氏が史上最強の棋士であることに同意するだろうし、筆者もそう思う。 また、単に最強の棋士であるというにとどまらず、我が国にあって、長年、「天才」、「頭のいい人」のアイコン的存在でもある。近年は、将棋にとどまらず、AI(人工知能)にも造詣が深く、AIの現在と将来について意見を求められる識者でもある。NHKの番組などで、羽生氏がAIについて解説する場面をご覧になった読者は少なくあるまい。 この羽生氏に対して、ノンフィクションライターの高川武将氏が足かけ7年以上の期間に合計9回に亘って行ったロング・インタビューが『超越の棋士 羽生善治との対話』という書籍