相撲の八百長で再び世間は大騒ぎだ。八百長けしからんというオーソドックスな意見から、談合だらけの日本社会では八百長は最早文化だとか、百家争鳴だ。筆者は、事前にメールであれこれ調整しないと八百長できないような、力士のレベル低下が問題を引き起こしたと見ている。 例えば、千秋楽。既に勝ち越しを決めている力士の対戦相手が、7勝7敗の成績だったとしよう。どうするか? 言うまでもない。相手に頼まれずとも、八百長の仲介役に言われずとも、絶妙な取り口で負けてやるのである。そして、勝ち星を譲り、窮地の相手を救ってやる。 勝ち星を譲られ、辛うじて勝ち越した力士も、当然相手がわざと負けてくれたことを自ら悟る。そして、口外することはなくとも、その恩を決して忘れない。土俵の内でも外でもよいから、巧妙に何らかの形で、かならず恩返しする。恩返しされた力士の方も、例え例の取り組みから既に10年が経過していても、「あ、あの時