知の創造プロセスである「創発」をモデル化した「イノベーション・ダイヤグラム」によって、科学革命を起こした物理学者たちの発見を読み解く。京都大学大学院総合生存学館(思修館)の山口栄一教授が新たに著した『死ぬまでに学びたい5つの物理学』(筑摩選書)の白眉は、この部分にあるといえるだろう。今回は、米国と日本のイノベーションのあり方の違いから、新たな知を生み出す仕組みについて聞いた。(取材・構成は、片岡義博=フリー編集者) ・前回から読む ・最初から読む 米国人は勇敢で日本人はヘタレか ――この連載は「日本では科学を論じないしきたりがある」という話から始まりました。それはつまり、日本に創発を促すような環境がないということですか。 山口 そこを考える必要があります。教育から企業、政治、行政まで、日本のすべてのシステムが、創発を生み出す仕組みにはなっていません。システムがないので、個人の努力でやるわけ
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