INTRODUCTION 1973年に制作・公開されたカルトムービー『番格ロック』が、このところ頻繁に名画座やCSで頻繁に上映・放映されている。上映を行った名画座ではレイトショウの動員記録を作ったという噂を聞くし、また、この8月には内藤誠監督の論考を含む書籍『戦う女たち──日本映画の女性アクション』(四方田犬彦・鷲谷花編・作品社刊)が出版された。 お決まりの東映三角マークが消えると、銀幕には、赤羽の街路の埃っぽい大気が生々しさをもって拡がり出す。その生々しさを映画的虚構で染めるように、ふてぶてしいスケバンたちの一群がセーラー服のリボンをなびかせて闊歩する。1973年夏の暖かな日差しが、実景と虚構に降り注いで、双方を繋ぐ。ジョニー大倉の甘い歌声が、不良少女達を讃えるように響く。ファーストショットにして観客は、いつの間にかこのフィルムの脈動に捕われていることだろう。 スケバン映画といえば、東映