主人公は、民俗学を研究する東々大学の准教授・古屋神寺郎と、彼のもとで学ぶ大学院生・藤崎千佳の二人。 「藤崎、旅の準備をしたまえ。」との古屋の一言から、毎回、日本各地、昔ながらの風景が残る場所へ研究の旅が始まる。 作品舞台は、第1話での青森県弘前市から、京都(岩倉山・鞍馬)、長野県松本市、高知県宿毛市、東京都文京区など。 古屋は、毒舌家で偏屈な人間だけれど、優秀な民俗学者。その古屋の毒舌をものともしない、千佳の切り替えしが絶妙で、二人のやり取りに笑える場面も多かった。 読み進めるうちに、千佳は古屋を心から尊敬しているのが伺え、古屋もその偏屈さとは裏腹に、千佳を信頼していて、実は温かい人柄であるのが伝わってきた。 足が悪く、杖をついて歩く古屋の、その過去の事情も分かって来る。 古屋は若い頃、長野県にある樹齢四百年を超える大樹、「伊那谷の大柊」を見たことが民俗学を志すきっかけとなった。それが始ま