8月23日。米軍撤退とタリバンの進攻で混乱するアフガニスタンからの国外脱出が世界で注目されている頃、私はアフガニスタンへの出発に向けて羽田空港第3ターミナルでPCR検査の結果を待っていた。コロナの感染拡大の問題もあり、空港は静まり返っていると予想していたが、家族連れだろうグループが目立った。浮き立つような雰囲気の彼らの間を通り抜け、空いているベンチを探して一息つく。8月5日にアフガニスタン行きの話がきてからこの日までの心の葛藤は、すでに何か一つの大きな仕事を成し遂げたような疲労感を全身にもたらしていた。 今回は3年ぶり、18回目の派遣。2018年6月にイラクに派遣されて以来の現場活動だ。この3年間、私は「国境なき医師団(MSF)」の日本事務局で正職員として新規スタッフ採用などの仕事をしていた。 事務局は、もしチャンスがあるならたまには現場に行ったらどうだ、という姿勢でいてくれていた。私も初
![白川優子連載「『国境なき医師団』看護師が出会った人々~Messages sans Frontieres」第21回「迷いと葛藤を乗り越え、混乱のアフガニスタンへ(2021年8月)」](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/a4aa102fa50e6c90b26a4e0846286fcda62494e4/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fs3-ap-northeast-1.amazonaws.com%2Fimg.imidas.jp%2Ftopics%2Fwp-content%2Fuploads%2F2021%2F10%2F04132822%2FL-82-021-2_aflo.jpg)