冬の夜にすること。 ハンカチにアイロンをかける。 天津甘栗をむく。 こたつの上のみかんを眺める。 手の爪をきる。 あたためた牛乳をのみながらつげ義春を読む。 古いレコードを聞く(おもにサイモン&ガーファンクルの「アメリカ」)。 母に電話してお正月の予定をあれこれ塩梅する。 歯をみがく。 次に書く小説のことを考えているうちにうたたねする。 ラジオの深夜放送を聞く。 西脇順三郎の詩を声に出して少し読む。(窓に/うす明かりのつく/人の世の淋しき)。 その続きを読む(自然の世の淋しき/睡眠の淋しき)。 さらに続きを読む(かたい庭)。 そしてさらに(やぶがらし)。 明日の天気予報を電話で聞く。 明日の夜の献立を考える(たぶん「白菜肉だんご」)。 腕時計を耳につけてカチカチ音を聞いてみる。 メールの返事を書く。 折り紙でいんこを折る(黄色と水色)。 昔恋人からもらった手紙(とってあるやつ)を読み返す。