厚生労働省が全ての児童養護施設と乳児院約700カ所に里親支援の専門担当職員を配置するため予算要求した背景には、里親と里子の関係悪化が目立ち始めたことがある。全国の児童相談所(児相)所長会の調査では、養子縁組への移行などを含む委託解除総数のうち、里子との関係がこじれるなどして解除されたのは約4分の1。里子が里親宅になじめないなど養育の難しさが浮かび、専門家は支援の大切さを訴えている。【野倉恵】 「今日もおねしょしなかったのか。3日連続だな、えらいな」「うん」。東日本の児童養護施設の施設長と小学生の男児は、最近まで数年間、ほぼ毎日声をかけあってきた。幼いころから長く続いた夜尿が、最近ようやく収まってきた。 自閉的傾向のある男児は2歳までの一時期、里親家庭で暮らした。10年以上前、その里親家庭の母親は、実子の子育てが落ち着いたとして、人を介して施設長に相談に訪れ、里子を育てる希望を熱心に語った。