2013年9月28日のブックマーク (2件)

  • 『飛行機の音ではなかった。(村上龍『限りなく透明に近いブルー』より)』

    飛行機の音ではなかった。耳の後ろ側を飛んでいた虫の羽音だった。蠅よりも小さな虫は、目の前をしばらく旋回して暗い部屋の隅へと見えなくなった。 天井の電球を反射している白くて丸いテーブルにガラス製の灰皿がある。フィルターに口紅のついた細長い煙草がその中で燃えている。洋梨に似た形をしたワインの瓶がテーブルの端にあり、そのラベルには葡萄を口に頬張り房を手に持った金髪の女の絵が描かれてある。 (村上龍 『限りなく透明に近いブルー』 講談社文庫 1978年) *           * 弱冠24歳、武蔵野美大生だった村上龍が芥川賞を受賞した衝撃のデビュー作、『限りなく透明に近いブルー』の冒頭である。1976年当時、この小説はミリオンセラーを記録し、まさに社会現象を巻き起こした。 ――飛行機の音ではなかった。この小説は、書き出しのこの一文から、すでに小説全体が持つ世界観を暗示する。優れた小説は、最初から

    『飛行機の音ではなかった。(村上龍『限りなく透明に近いブルー』より)』
    arakik10
    arakik10 2013/09/28
  • 医薬にノーベル賞は出るか?(2) : 有機化学美術館・分館

    9月28 医薬にノーベル賞は出るか?(2) カテゴリ:医薬 さて前回、医薬品の開発に対してはここ25年ほどノーベル賞が出ていないと書きました。では今後、ノーベル賞が出るとしたらどんな医薬でしょうか? 25年前のブラック、エリオン、ヒッチングスらの受賞理由を見ると、「薬物療法の重要な原理の発見」とあります。つまりこの受賞は、H2ブロッカー(胃潰瘍の薬)やアシクロビル(ヘルペスの薬)を発見した功績ではなく、新しく薬を創り出すための「道筋を編み出した」ことが評価されたわけです。 たとえばブラックは、「受容体拮抗薬」という医薬ジャンルを確立した一人です。胃潰瘍という病気は、胃酸の出過ぎで起こります。その胃酸は、ヒスタミンという鍵物質が受容体の穴にはまりこむことで放出されます。そこで、受容体の鍵穴に先回りしてはまり込み、ヒスタミンを結合させないようふさぐ(拮抗作用)化合物を創ればよいと考えました。

    医薬にノーベル賞は出るか?(2) : 有機化学美術館・分館
    arakik10
    arakik10 2013/09/28
    エイズの治療薬は日本人の貢献なのか