ブックマーク / blog.livedoor.jp/route408 (11)

  • 赤はなぜ色褪せるのか

    9月6 赤はなぜ色褪せるのか カテゴリ:有機化学構造 街を歩いていると、色あせた古い標識を見かけることがあります。 この標識は来鮮やかな赤色の矢印なのですが、ご覧の通りかなり褪色して薄いピンクのような色合いになっています。これに対し、国道のおにぎりマークや縁取りの青はまだ鮮やかさを保っています。このタイプの標識は、1995年から設置されるようになったものですので、20年ほどで赤だけがずいぶん色褪せてしまっているということになります。 このように、赤色が他の色より褪色しやすいというのは、ちょくちょくみかける現象です。ひどくなると下の写真のように、肝心なところがきれいに抜けて読めなくなったりします。大事なことは赤で書きたくなりますが、時の流れを考えるとあまり得策でないことがわかります。 さて、なぜ赤色はさめてしまいやすいのでしょうか?これは偶然ではなく、それなりの理由があります。まず赤い塗料

    赤はなぜ色褪せるのか
  • 書籍紹介

    8月14 書籍紹介 カテゴリ:書籍お知らせ 世間では夏休み真っ盛りかと思います。そこで今回は筆者も読書感想文などを。 ☆ホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるか 科学書としては珍しく、世界で100万部を突破したというこの、日でもやはり話題になっているようです。著者のウェブサイトに寄せられた難問奇問に、あらゆる科学知識を駆使して全力で答えていくというスタイルです。いわばエクストリームこども電話相談室とでもいうべきでしょうか。 寄せられた質問は、たとえば以下のようなもの。 ・光速の90%の剛速球をバッターに投げたらどうなるか? ・人類総がかりでレーザーポインターで照らしたら月の色は変わる? ・お茶を必死にかき回したら沸騰させられるか? ・肉をどのくらい高い空から落とせば、その熱でステーキが焼けるか? こんなもん面白いに決まってるという感じですが、回答も実にバカバカしくも面白

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    arakik10
    arakik10 2015/08/16
  • 究極の分子敷き詰め : 有機化学美術館・分館

    6月18 究極の分子敷き詰め カテゴリ:構造芳香族 近年、半導体や発光特性など、さまざまな機能を持った有機分子が多数報告されるようになりました。より優れた性質を引き出すための分子設計も研究が進んでおり、さまざまな骨格の機能性分子が登場しています。 しかし、化合物の性能を決めるのは、何も分子の構造だけではありません。たとえば有機半導体などは、平面の基盤の上に薄膜を作って用いられることがほとんどです。この薄膜の出来が悪いと、化合物は持っているポテンシャルを発揮できません。ランダムにあちこちを向いて並んでいるのではなく、分子どうしが引きつけ合ってきちんと平面に並んでいれば、多くの面で有利になります。 タイル張りの床のように、どこまでも一定のパターンで分子が並んでいくのが理想ですが、なかなかこうは行きません。薄膜は、ひとつの分子の周りに次の分子が並び、次々に成長してでき上がります。しかし、薄膜は1

    究極の分子敷き詰め : 有機化学美術館・分館
  • 化学家紋 : 有機化学美術館・分館

    2月10 化学家紋 カテゴリ:雑記 さて先日、ツイッターで「現代家紋」というのが流行っていました。まあこんな感じ↓で、どこかで見かけたようなマークや記号を、家紋風にアレンジして遊ぼうというものです。秀逸な作品も多く、まとめもできています。 西村備山@lipoyang頭合セ三ツWiFi #現代家紋 http://t.co/BFHfaat93n2014/02/06 21:31:48 ということで、化学版の家紋というのもあると面白いかなということで、いくつか考えてみました(筆者は決してヒマを持て余しているわけではありません)。 ・亀甲 有機化学の基はやはりこれ。日の伝統文様とも違和感なくなじみます。 ・丸にフラーレン みんな大好きフラーレン。五員環を黒く塗ったほうが、紋様としては引き立つかもしれません。 ・丸に三つ水分子 水素結合している方がよいという声がありましたが、筆者の腕ではまとまりが

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    arakik10 2014/02/11
    シンケンジャーの志葉家の家紋もこんなんだったらもっとかっこよかったかも
  • 医薬にノーベル賞は出るか?(2) : 有機化学美術館・分館

    9月28 医薬にノーベル賞は出るか?(2) カテゴリ:医薬 さて前回、医薬品の開発に対してはここ25年ほどノーベル賞が出ていないと書きました。では今後、ノーベル賞が出るとしたらどんな医薬でしょうか? 25年前のブラック、エリオン、ヒッチングスらの受賞理由を見ると、「薬物療法の重要な原理の発見」とあります。つまりこの受賞は、H2ブロッカー(胃潰瘍の薬)やアシクロビル(ヘルペスの薬)を発見した功績ではなく、新しく薬を創り出すための「道筋を編み出した」ことが評価されたわけです。 たとえばブラックは、「受容体拮抗薬」という医薬ジャンルを確立した一人です。胃潰瘍という病気は、胃酸の出過ぎで起こります。その胃酸は、ヒスタミンという鍵物質が受容体の穴にはまりこむことで放出されます。そこで、受容体の鍵穴に先回りしてはまり込み、ヒスタミンを結合させないようふさぐ(拮抗作用)化合物を創ればよいと考えました。

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    arakik10 2013/09/28
    エイズの治療薬は日本人の貢献なのか
  • ノロウイルスとインフルエンザウイルス : 有機化学美術館・分館

    12月23 ノロウイルスとインフルエンザウイルス 世間では、ノロウイルスが猛威を振るっているようです。何でも今年のノロは変異を起こした新型だそうで、極めて始末が悪いようです。筆者も、ノロには以前だいぶひどい目に遭いました。 ノロウイルス 新型といえば、2009年には新型インフルエンザが発生し、真夏の大流行という異例の事態となりました。店や学校の入口などにエタノールの噴霧器が設置され、みな手に吹きつけて消毒に励んでいたことは、ご記憶の方も多いかと思います。 しかしこのエタノール消毒は、ノロウイルスには効かないということです。同じウイルスでありながら、なぜこういう差が生じるのでしょうか。 ウイルスというのは、遺伝子となるDNAあるいはRNAが、タンパク質の殻(カプシド)に収まった構造です。ウイルスは、自分自身だけでは複製を作ることができず、他の生物の細胞にとりつき、その増殖機構を乗っ取ることで

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    arakik10 2012/12/25
  • 酒で超伝導が起きる理由 : 有機化学美術館・分館

    7月17 酒で超伝導が起きる理由 先日のヒ素細菌決着に続き、話題になった研究のその後についてフォローしておきましょう。 ちょうど2年ほど前、物質・材料研究機構(NIMS)から発表された「ワインで超伝導」という論文が話題になりました(当ブログ記事)。鉄・テルルなどから成るある種の物質は、そのままでは超伝導性を示さないものの、ワイン、ビール、日酒、ウイスキー、焼酎などにこの物質を浸して煮ると超伝導物質になるというものです。びっくりというか、いったい何を考えてこの発見をしたやら、ぜひ聞いてみたいような話です。 鉄-テルル系物質の構造 この話、ポイントをまとめると以下の通りです。 ・物質はそのままでは超伝導性を示さない。 ・鉄-テルル系物質を長期間空気中に放置しておくと、超伝導性を示す。 ・鉄-テルル系物質をワインなどで煮れば、長期間待たなくとも超伝導を起こせる。 ・酒の種類は赤ワインがベスト。

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    arakik10 2012/07/19
  • 折り紙準結晶2 : 有機化学美術館・分館

    2月26 折り紙準結晶2 昨年のノーベル化学賞に輝いた準結晶については、すでに何度か当サイトでも触れております。で、一度「折り紙準結晶」と題して、付箋紙で作るペンローズタイルの折り方を掲載しました。 付箋紙で作ったペンローズタイル ただそちらでも書きました通り、これは実は準結晶ではなく、その2次元版というべきペンローズタイルですので、「折り紙準結晶」というタイトルは若干誇大広告ではあります。ということで、格的な3次元の準結晶格子を作れないものか、いろいろ調べておりました。とはいえ普通の結晶格子ですら把握は難しいのに、非周期的な準結晶ともなると、なかなか筆者の脳みその手に余るところとなってきます。 とりあえずいろいろネットを漁ってみますと、準結晶研究の第一人者である蔡 安邦・東北大教授による報告資料(PDFファイル、準結晶の構造については11ページから)、そして多面体ファンの間では知られた

    折り紙準結晶2 : 有機化学美術館・分館
  • 「ヒ素生物」の衝撃 : 有機化学美術館・分館

    12月4 「ヒ素生物」の衝撃 昨日は、NASAから「宇宙生物学上の発見に関する会見」が行われるということで大いに盛り上がりました。筆者も「ついにどこかで宇宙生命がとっつかまったか」と期待したのですが、実際はカリフォルニアの塩湖で見つかった新種の細菌の話でした。なんだよ期待させやがってと一瞬思ったんですが、よく聞けばやはり凄い話で、この細菌はなんと毒性元素として知られるヒ素を体内に取り込み、DNAに組み込んで生活しているというのです。これはまあ宇宙人発見とはいわないものの、どう見ても世紀の大発見としか言いようがありません。さらにいろいろ聞くにつけ、この細菌は実に「ななななんじゃこりゃ」的な代物であるようです(論文はこちら)。 問題の細菌、GFAJ-1。 GFAJ-1と名付けられたこの細菌(こんなカメラの型番みたいなのではなく、もっと素敵な名前を考えてやってほしいですが)が見つかったのはカリフ

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    arakik10 2010/12/05
  • ノーベル化学賞にR. Heck・鈴木章・根岸英一の3氏 : 有機化学美術館・分館

    10月7 ノーベル化学賞にR. Heck・鈴木章・根岸英一の3氏 ついに、と言っていいと思いますが、クロスカップリング反応にノーベル賞が出ました。5年前、「そろそろ出るかな」と思ってこちらのページを書いたのですが、これが今ごろになって効いてきて、今日は筆者の元にも晩飯をべるヒマもないくらいに取材が殺到しました。先ほどラジオでしゃべり、明日もテレビ東京などの取材を受けることになりました。まあちょっとしたバブルというか、嬉しい悲鳴というところでしょうか。 「ノーベル賞は、個人でなく分野に与えられるものだ」という言葉があるそうですが、今回の「パラジウム触媒によるクロスカップリング反応」はまさに命中の命、有機化学で出るならここだろう、と思える分野でした。鈴木-宮浦カップリングの解説ページで述べた通り、この反応の用途は医薬・殺菌剤・液晶・有機ELなど多方面に及び、医薬だけを取っても年間数千億円

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    arakik10 2010/10/08
  • 汚染米事件のこと : 有機化学美術館・分館

    9月13 汚染米事件のこと カテゴリ:化学物質 三笠フーズによる汚染米事件が世間を揺るがしています。下のエントリで書いたようにパソコンが入院中で、テレビが見られなくなっていたためあまりよく事情を把握していなかったのですが、ネットでざっとチェックする限りでは、例によって報道のあり方に疑問が感じられます。 事件を起こした三笠フーズの体質、チェックが甘かった農水省の責任は問われるべきで、これは議論の余地がありません。太田農水相の言うとおり「健康に影響はない」としても、基準を満たさない米を用に回し、隠蔽工作を行っていたのは悪質極まりなく、社会的責任を追及されてしかるべきでしょう。 で、実際問題として我々にどの程度のリスクがあるのか――とここが一番の関心事であるはずなのですが、どうもここの報道がおかしいように感じます。マスコミ報道では1月の毒餃子事件で印象に植え付けられた「メタミドホス」が一番大き

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    arakik10 2008/09/13
    農薬の残留基準値の決め方のとても短い簡単なレビューとしてブクマ
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