電子や光子の振る舞いを記述する「量子論」が清水明教授(総合文化研究科)の研究道具だ。現在の研究対象は非常に多数の原子などからなる「マクロ量子系」。量子論に基づき多数の粒子が集まった物理的対象の性質を考察する「統計力学」を用い、電子系やスピン系などさまざまなマクロ量子系を理論的に研究する。 現在は物理学の基礎研究をする清水教授だが、学生時代には面白いと思える物理の研究分野に巡り合えなかった。「今のようにインターネットで情報を入手できなかったので、当時の物理学科で行われていた研究を物理学の全てだと勘違いしていました」。研究室の教授に勧められ博士号を取得したが、その後はカメラやコピー機などを手掛けるキヤノンに就職。「当時、成長途中の中堅企業だったキヤノンなら研究の専門家が少なく、研究を厳しく管理されずに私の興味の持てる基礎的な研究ができると考えました」 入社後の数年間は上司から指示されたテーマを