経営がうまくいった理由のひとつは、会社のなかに派閥を作らんかったということやろうな。 とにかく、学閥とか、あるいは、ようあるやろ、社長派とか専務派とか、そういうものも作らんかったし、作らせんかった。そういうものは社内に対立を生み出すばかりではなく、会社全体の力を分散させることになるわね。全員で一丸というところを、派閥があればそれが出来ん。 知恵を集めて仕事を成功させようとしても、派閥があれば、その知恵も十分に集められんということになる。そんなことでは、激しい競争に勝てるわけがないやろ。うちの会社が成功したとすれば、派閥を作らず、みんなで力を合わせたからや。 それから、ガラス張りで経営をやったというのも、よかったかもしれんね。わしはな、会社の社員が十数人の、まあ、個人経営のときから、毎月の決算を社員に公開してきた。今月はこれだけ売れた。これだけ儲かったということを、従業員諸君に知らせてきた。
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