自分が造った製品が一流品として評価され,世の中で長く使われる――。そうなったら技術者冥利(みょうり)に尽きます。ところが,そんなことばかりは起りません。何か秘訣はないのでしょうか。そんな下心もあって松下電器産業(現パナソニック)元副社長で,同社の商品企画をリードしてきた戸田一雄氏のお話「一流商品とは? −ものづくりの文化学」を聞きに行きました。 戸田氏は現在,文化学院の理事長・校長を務めておられます。文化学院はイベント・交流会として,毎月「クリエイティブ・カフェ」を開きます。2009年9月18日の第5回は戸田氏自らが話し手になりました。同校2階のマルチスペースにいすを持ち込んで会場とし,コーヒーやお菓子も用意して,くつろいだ雰囲気の会合です。 お話の中で,まず戸田氏が強調していたことは,市場から学ぶことの大切さです。実は,この点については,日経ものづくりの10月号の直言というコラムで執筆し