日本がインドネシアの高速鉄道受注で中国に敗れて約半年。当初、中国はすぐに工事に着手し、3年以内の完成を宣言したが、どうも雲行きが怪しい。ノンフィクションライター・水谷竹秀氏が現地からレポートする。 * * * 濃緑の茶畑が見渡せる山の一角に、ゴム林を切り開いた幅約200mの更地がずっと奥まで続く。周囲には立ち入り禁止の黄色いテープが張り巡らされ、更地に等間隔に立つポールには赤い旗が夕風に揺らめいていた。その近くで屋台を営むディアンさん(34歳)は、コーヒーに熱湯を注ぎながら言った。 「ジョコウィ大統領が出席した着工式の日には客がたくさん来て、1日で300万ルピア(約2万5千円、1万円=約119万ルピア)も売れたの。でもその後は工事が行われていないから作業員もいない。客が一気に減ったから、今は1日当たり20万~30万ルピアしか稼げないわ」 ここはインドネシアの首都ジャカルタから南東に100k
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