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  • 第8回 発問2:「解釈」というか「推論」 | 明解PISA大事典(北川 達夫) | 三省堂 ことばのコラム

    今回は「解釈」である。 「解釈」といっても、英文や古文の解釈のように「意味や内容を明らかにして解きほぐすこと」ではない。欧米型の読解教育で「解釈」といえば「推論」を意味するのである。 実は「情報の取り出し」と「解釈」とは表裏の関係にある。 前回の事例を復習しよう。「隣国の独裁者が重病らしい」という風説について、それを裏づけるような事実――たとえば「最近、独裁者は公的な場に姿を現していない」「某国の医師団が招聘された」などの情報を集める活動がPISAの「情報の取り出し」であった。 これに対して、PISAの「解釈」とは、「最近、独裁者は公的な場に姿を現していない」「某国の医師団が招聘された」などの情報を手がかりにして、独裁者がどのような状態にあるのかを推理する活動なのである。 PISAの読解力の発問風にいえば、 ◆情報の取り出し 「この課題文を読んだ人が『独裁者は重病らしいね』と言いました。こ

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  • Sanseido Word-Wise Web [三省堂辞書サイト] » 『三省堂国語辞典』のすすめ その73 「第1ページ目」と言ってもよさそう。

    【重複表現なのか?!】 この連載の中で「第1ページ目」という表現を使ったところ、編集部から「第1ページ」または「1ページ目」ではないかとお尋ねがありました。たしかに、新聞社のスタイルブックでも「第~目」は〈重複〉とされており、新聞記事の文にはほとんど出てきません。 ただ、迷った末に、「第1ページ目」という原文はそのままにしてもらいました。これはこれで、一種のニュアンスをもつ表現だからです。 ある表現が認められるためには、昔から使われていること、また、その言い方が理屈に合っていることが確かめられれば十分でしょう。「第~目」はどうかというと、まず、古い例としては、江戸時代(18世紀)の『仮名手忠臣蔵』に出てきます。 〈先づ一番に打ち上ぐるは大星由良助義金。二番目は原郷右衛門。第三番目は大星力弥。〉(岩波文庫版 p.114、文字遣い改める) 明治になると、二葉亭四迷『浮雲』に〈開巻第一章の第

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  • 第41回 「都」が変化する意義 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    「都」は、常用漢字であり、かつ教育用漢字でもあるため、日中でこの字体をしっかりと習うはずだ。「者」は「土」にある下の「亠」のような部分の右よりの箇所に「ノ」が長く交差するという、やや珍しい形態を持つ。「ナ」に近いともいえるが、「ノ」の起筆は微妙な位置から始まり、しかも長く伸びる。つまり「ノ」という線は一般に書きにくいものなのであろう。それを書きやすしようとした結果、書体によっては、「者」の「ノ」が「一」を挟んで切れて、水面を貫く光線のように、右と左とで離れている、そんな極端な例も見受けられる。それは、伝統的な楷書にも見られるのである。 そうした字体の特性から、この字を用いる人々は、少しでも省力化を目指す。実は中国でも伝統的な隷書や楷書、とくに行書に、写真と同様の「都」の字体が使われることが起こっていた。字体を簡易化すべく図って、この形が筆記で生じ、あるいは歴史的な書写体から選ばれ、日常的

    第41回 「都」が変化する意義 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム
  • その72 フィギュアだっけ、フィギアだっけ。 | 三省堂国語辞典のすすめ(飯間 浩明) | 三省堂 ことばのコラム

    この連載の「その14」でも触れたように、『三省堂国語辞典』では、「デパート」に対する「デバート」など、外来語のなまりの形を示すことがよくあります。「そんな誤った形を書き添えるべきではない」という向きもあるかもしれませんが、現代日語を映す鏡であろうとする『三国』としては、耳にすることのある語形ならば載せたいと考えます。 それに、なまりイコール誤りとは単純に言えないものです。「キャベツ」だって「ラムネ」だって、それぞれ「キャベージ(cabbage)」「レモネード(lemonade)」が変化したものです。ワイシャツ(white shirt)を着てズボン(フランス語 jupon から?)をはく生活をしているわれわれは、なまった語形から逃れることはできません。 【フィギュアの演技】 2006年のこと、大学生のレポートに〈〔スケートの〕フィギア〉という語形があるのを発見しました。ワープロの打ち間違い

    その72 フィギュアだっけ、フィギアだっけ。 | 三省堂国語辞典のすすめ(飯間 浩明) | 三省堂 ことばのコラム
  • Sanseido Word-Wise Web [三省堂辞書サイト] » 人名用漢字の新字旧字:「勺」と「勺」

    2009年 6月 18日 木曜日 筆者: 安岡 孝一 第37回 「勺」と「勺」 新字の「勺」(勹の中に丶)は常用漢字なので、子供の名づけに使うことができます。旧字の「勺」(勹の中に一)は、昭和56年9月30日までは子供の名づけに使えたのですが、翌10月1日以降は使えなくなりました。でも、新字の「勺」も、使えなくなりそうだったのです。 昭和21年11月16日に内閣告示された当用漢字表には、旧字の「勺」が収録されていました。昭和23年1月1日に施行された戸籍法施行規則は、子供の名づけに使える漢字を当用漢字表1850字に制限しました。したがってこの時点では、旧字の「勺」は出生届に書いてOKだったのですが、新字の「勺」はダメだったのです。昭和24年4月28日、当用漢字字体表が内閣告示され、新字の「勺」が当用漢字になりました。これを受けて法務府民事局は、当用漢字表に加えて当用漢字字体表も子供の名づけ

  • 第6回 PISA型読解力 PISA型読解力はなかった? PISAをめぐる誤解あれこれ | 明解PISA大事典(北川 達夫) | 三省堂 ことばのコラム

    PISA型読解力など存在しない――と言うとびっくりするかもしれないが、事実なのだから仕方がない。そのようなものはハナから存在しないのである。 PISAの読解力は、欧米ではありがちな「reading」の問題である。決してPISA特有のものではない。私の翻訳したフィンランドの国語教科書を見て「さすがPISA型読解力の発問ばかりだ」と感心する方々がいる。しかし、あれが欧米では普通なのだから感心するだけソンなのだ。このことは日のPISA読解力班主査の有元秀文先生が最初からおっしゃっているのだが(1)、意外に浸透していない。 これまでにも述べてきたように、PISAの読解力は多文化主義をとることによってグローバル・スタンダードを目指している。その点で特異といえば特異である。だが、この「グローバル・スタンダード」という言葉が新たな誤解を生んだ。 私たちは「グローバル・スタンダード」というと、なんとなく

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  • その2 過渡期の犠牲者 | 四字熟語と太宰(円満字 二郎) | 三省堂 ことばのコラム

    四字熟語とはどんなものか? 漢字が4つ並んでいれば、四字熟語なのか? その定義は、なかなかむずかしい。たとえば、「自己」のあとに漢字2文字がくっついたことばは、たくさんある。「自己矛盾」「自己満足」「自己嫌悪」「自己否定」「自己崩壊」などなど。 これらは四字熟語と呼べるのか? そう思えるものもあれば、そうは思えないものもある。その線引きをするのは、きわめて困難だ。 太宰の作品の中にも、「自己○○」はたくさん出てくる。中でも出現回数が多いのは、「自己弁解」の15回、「自己嫌悪」の13回。自分を取り繕おうとしたり、ことさらに嫌ってみせたり。このこと自体、太宰の自意識のありようを物語るようで、おもしろい。 では、自分を積極的に評価するような「自己○○」は、太宰は使わないのだろうか。そう思って見てみると、「自己満足」は1回しかない。「自己肯定」は5回あるけれど、批判的な文脈で用いられることが多いよ

    その2 過渡期の犠牲者 | 四字熟語と太宰(円満字 二郎) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第40回 「都」に流行るもの | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    京都での気な会合の前に、市内を散策してみる。さすが千年のみやこ、「都」という漢字がどこにでも書かれている。東京からの新幹線の車内で座席を立とうとする時点で、その電光掲示板に、次の停車駅は「京都」と表示が出る。これがドット文字ながら、明朝体風であり、やはり日を代表する車両に出るその地名にふさわしく、惚れ惚れするような実に見事なバランスに仕上がっている。 前から京都を歩くたびに、気になっていることの一つが、その「都」という漢字のとある姿だ。それは、「東京」は昔、「東亰」と書かれ、トウケイと読まれた、という通説とは関係がなく、「都」に点のある、いわゆる旧字体かどうか、ということでもない。 その「都」の気に掛かる姿とは、「都」の「者」の部分の「ノ」の起筆位置の低さである。今回は、2時間くらいの間に、10種類以上の品々で、その字体と邂逅した。それは、街中の看板や自動車のナンバープレート、はては路

    ardarim
    ardarim 2009/06/12
    何気なく見てると言われるまで気が付かないものですねえ。続編が楽しみ。
  • 第5回 読解力の問題と素材文 素材文はひとつ 解釈もひとつ? | 明解PISA大事典(北川 達夫) | 三省堂 ことばのコラム

    フィンランドの教育がそれほど有名ではなかったころの話である。 私はフィンランド中西部の人口800人ほどの村にいた。「国際理解週間」ということで、村の唯一の小学校に招かれたのである。その村に外国人が来るのは10年ぶりのこと。しかも珍奇なる日人である。てんやわんやの大騒ぎとなった。 一連の行事の途中で長大な空き時間ができた。なにごともユルユルのフィンランドではよくあることである。そこで中学年の複式学級で物語を語ることになった。語ったのは『スイミー』。小さな赤い魚のきょうだいの中で一匹だけ黒いスイミー。きょうだいをみな大きな魚にべられてしまったスイミー。大きな魚をみんなで追いはらったスイミーの物語である。そのときは特に思惑があったわけではない。いきなり日の昔話を語っても理解しにくいだろうと思った程度のことだ。 語り終えたとき、ひとりの男の子が手をあげた。 「スイミーは指揮官なんだね」 「な

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  • 人名用漢字の新字旧字:「滝」と「瀧」

    新字の「滝」は常用漢字なので、子供の名づけに使うことができます。旧字の「瀧」は人名用漢字なので、子供の名づけに使うことができます。つまり、「滝」も「瀧」も出生届に書いてOK。でも、旧字の「瀧」は、微妙なタイミングで人名用漢字に追加されたのです。 昭和23年1月1日の戸籍法改正時点では、当用漢字表には新字の「滝」が収録されていて、直後にカッコ書きで旧字の「瀧」(4画目が「一」)が添えられていました。つまり、「滝(瀧)」となっていたわけです。ただし、旧字の「瀧」はあくまで参考として当用漢字表に添えられたものでしたから、子供の名づけに使ってはいけない、ということになりました。この時点では、新字の「滝」はOKだけど、旧字の「瀧」はダメだったのです。その後、常用漢字表の時代になって、新字の「滝」は常用漢字になりましたが、旧字の「瀧」は人名用漢字になれませんでした。ここまでは、「歐」や「學」と良く似た

  • 人名用漢字の新字旧字・特別編 (第10回・最終回) | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    人名用漢字の新字旧字の「曽」や「祷」の回を読んだ方々から、常用漢字でも人名用漢字でもない漢字を子供に名づけたいのだが、どうしたらいいのか、という相談を受けました。それがどれだけ大変なことかを知っていただくためにも、あえて逆説的に、「人名用漢字以外の漢字を子供の名づけに使う方法」を、全10回連載で書き記すことにいたします。 常用平易ではなく永年使用 前回(第9回)、名の変更許可では「永年使用」を実情として申立てる、と書きました。問題の漢字の「常用平易」ではなく、「永年使用」を申立てるのです。というのも、子の名ではなく、人の名なのですから、戸籍法第50条ではなく第107条の2が適用されるのです。 第百七条の二 この「正当な事由」の1つとして、「永年使用」が認められているのです(東京家庭裁判所昭和40年(家)第7435号・宮崎家庭裁判所昭和46年(家)第268号・名古屋高等裁判所昭和52年(ラ

    人名用漢字の新字旧字・特別編 (第10回・最終回) | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム
    ardarim
    ardarim 2009/06/05
    これがオチか 「全国の家庭裁判所を放浪する一生」
  • 人名用漢字の新字旧字・特別編 (第9回) | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    人名用漢字の新字旧字の「曽」や「祷」の回を読んだ方々から、常用漢字でも人名用漢字でもない漢字を子供に名づけたいのだが、どうしたらいいのか、という相談を受けました。それがどれだけ大変なことかを知っていただくためにも、あえて逆説的に、「人名用漢字以外の漢字を子供の名づけに使う方法」を、全10回連載で書き記すことにいたします。 当の子供の名を使い続ける 前々回(第7回)、たとえ抗告審で敗けたとしても、当の子供の名を戸籍に載せるチャンスは残されています、と書きました。では、どうすればいいのでしょう。簡単なことです。第1回でも書いたとおり、当の子供の名を使い続けるのです。子供の名にその漢字を使いたいのなら、親だけでなく、まわりの人たちにも当の名を認めてもらう必要があるのです。 まずは、健康保険証の被扶養者欄。当の子供の名を書いてもらえるよう、頑張ってみましょう。うまくいったら、コピーを取っ

    人名用漢字の新字旧字・特別編 (第9回) | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム
    ardarim
    ardarim 2009/06/03
    寝技に入ってきたw 最終回が楽しみだ
  • 人名用漢字の新字旧字・特別編 (第8回) | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    人名用漢字の新字旧字の「曽」や「祷」の回を読んだ方々から、常用漢字でも人名用漢字でもない漢字を子供に名づけたいのだが、どうしたらいいのか、という相談を受けました。それがどれだけ大変なことかを知っていただくためにも、あえて逆説的に、「人名用漢字以外の漢字を子供の名づけに使う方法」を、全10回連載で書き記すことにいたします。 許可抗告と執行停止 前回(第7回)、市町村長が許可抗告を申立てた場合でも、たいてい高等裁判所は確定証明書を交付してくれる、と書きました。これは、民事訴訟法第334条の 第三百三十四条 にもとづくものです。つまり、家庭裁判所から高等裁判所への即時抗告は、子供の当の名を戸籍に記載する手続を「執行停止」する(第5回参照)のですが、高等裁判所から最高裁判所への許可抗告は、その手続を「執行停止」する効力はありません。したがって、たいてい高等裁判所は確定証明書を交付してくれる、ので

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    ardarim
    ardarim 2009/06/03
    6~12ヶ月もかかるのか…
  • 人名用漢字の新字旧字・特別編 (第7回) | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    人名用漢字の新字旧字の「曽」や「祷」の回を読んだ方々から、常用漢字でも人名用漢字でもない漢字を子供に名づけたいのだが、どうしたらいいのか、という相談を受けました。それがどれだけ大変なことかを知っていただくためにも、あえて逆説的に、「人名用漢字以外の漢字を子供の名づけに使う方法」を、全10回連載で書き記すことにいたします。 家庭裁判所への差し戻しとなった場合 高等裁判所が原審判を取り消した場合、家庭裁判所に差し戻すのが原則です。この場合は、連載の第5回に戻って、またやりなおし、ということになります。ただ、市町村長の処分に対する不服申立審判に対する抗告審では、差し戻しはめったにおこなわれず、高等裁判所が新たな決定をくだす「自判」が多いようです。 抗告審に勝った場合 あなたが相手方で高等裁判所の決定が抗告棄却だった場合、あるいは、あなたが抗告人で高等裁判所の決定が原審判取り消し自判だった場合、あ

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  • 第39回 「ふすま」と「アオザイ」の共通点――「襖」 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    「襖」という字の旁は「奥」か「奧」か、字体に揺れがある。画面では見えにくいかと思う。携帯電話の画面上でも、「奥」と「奧」との区別が全く付かない字形となるものがあった。中身が「釆(ノ米)」(ハン)か「米」か、という違いである(*1)。この字体の細部での揺れ以上に、「襖」の字義の揺れは漢字圏において大きかった。 日では、この字を、木と紙でできた日家屋の伝統的な建具の「ふすま」として用いてきた。一方、ベトナムの最大民族である京(キン)族は、その民族衣装である「アオザイ」の「アオ」の表記に、この字を用いていた。このいかにも日らしい和室の建具と、ベトナム的な衣装とに、同じ漢字が用いられていたことには、どのような理由があったのであろうか。 ベトナムでは、丈の長い上着である「アオザイ」が伝統ある衣装として有名だ。清朝の満州族が着ていたチャイナドレス(旗袍 qi2pao2 チーパオ)から、南国の暑さ

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  • 第4回 読解力の問題と素材文 素材文の理想と現実 | 明解PISA大事典(北川 達夫) | 三省堂 ことばのコラム

    読解力の問題は素材文が命である。 素材文を選定するときは、子どもの興味や関心を第一に考えなければならない――「学習者中心」という考えが広まるにつれ、こういわれるようになった。 この風潮に眉をひそめるむきも少なくない。子どもに迎合しているというのである。今年1月に教科書に関するシンポジウムがあり(1)、そこで「最近の国語教科書は子どもに媚びていてイカン。教科書はリンとしたものでなければナラン」と声高に主張された。私も登壇者の一人だったのだが、父ほどの年齢の方々にそう説教されては返す言葉もない。 リンとするのは結構だ。だが子どもの視点を無視すべきでもない。学習者中心主義の目的は子どもに迎合することではなく、子どもの自発的な学びをうながすこと。「個人の人生にわたる根源的な学習の力」(2)を測定する、PISAの価値観もまさにここにある。いつでもどこでも自発的に学びつづける人間こそ、世界中で通用する

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  • 人名用漢字の新字旧字・特別編 (第6回) | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    人名用漢字の新字旧字の「曽」や「祷」の回を読んだ方々から、常用漢字でも人名用漢字でもない漢字を子供に名づけたいのだが、どうしたらいいのか、という相談を受けました。それがどれだけ大変なことかを知っていただくためにも、あえて逆説的に、「人名用漢字以外の漢字を子供の名づけに使う方法」を、全10回連載で書き記すことにいたします。 市町村長が即時抗告した場合 家庭裁判所の審判で申立てが認容されたにもかかわらず、市町村長が即時抗告した場合、事件は高等裁判所に移ります。ですが、即時抗告申立書は家庭裁判所に提出された後、事件記録もろとも高等裁判所に送付されるので、まずは家庭裁判所に出向いて、あなたの事件記録(市町村長の即時抗告申立書を含む)の閲覧・コピーを願い出てみましょう。また、抗告審を担当する高等裁判所の窓口と電話番号は、必ず確認しておいて下さい。 事件記録が、すでに高等裁判所に送付されてしまっていた

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  • 51 耳の文化と目の文化(18)-視覚的な特性(11) | クラウン独和辞典 ―編集こぼれ話―(『クラウン独和辞典第4版』編修委員 新田 春夫) | 三省堂 ことばのコラム

    ドイツ語にはいわゆる分離動詞が多数あり、それらは、名詞+動詞、形容詞/副詞/分詞+動詞、動詞+動詞、といった構造をもっている。 まず名詞+動詞であるが、Rad fahren, Auto fahrenなどのRad、Autoは名詞として独立性が強く、全体が句として意識されるため2語に書かれるのに対し、teilnehmen「参加する」、stattfinden「行われる」などは来のteil「部分」、statt「場所」という意味が薄れてしまったためにいわゆる分離動詞として不定詞、分詞は1語に書かれる。 新正書法ではeislaufen「スケートをする」はいわゆる分離動詞とみなされているが、maschineschreiben「タイプライターで打つ」という形はなく、熟語としてMaschine schreibenと2語に書くものだけが認められている。これはeisは「スケート場」のことであり、Eisはふつう

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  • 人名用漢字の新字旧字・特別編 (第3回) | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    つまり、法律である戸籍法が「常用平易」という大枠を決めて、法務省令の戸籍法施行規則が、それを常用漢字と「別表第二に掲げる漢字」(人名用漢字)に制限している、という二段構えになっています。 しかも、この二段構えには、実は隙間があります。「常用平易」であるにもかかわらず、常用漢字でも人名用漢字でもない漢字、というのが存在し得るからです。言い換えると、常用漢字でも人名用漢字でもない漢字であっても、戸籍法に沿って「常用平易」であると認められれば、子供の名づけに使ってよい、ということになるのです。ただし、そういう漢字を子供の名づけに認めてもらうためには、行政の場である市役所(区役所・町役場・村役場)ではなく、司法の場である裁判所の判断が必要なのです。では、どこの裁判所に行けばいいのでしょう。 家庭裁判所に不服を申立てる 戸籍に関する事件は、家庭裁判所の家事審判にあたります。地域(市役所の住所地)を管

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  • 第3回 グローバル・スタンダード 夢の多文化主義 | 明解PISA大事典(北川 達夫) | 三省堂 ことばのコラム

    PISAの読解力は多文化主義をとっている。いろいろな国からいろいろな文化を反映した問題を募集して採用しているのだという。 多文化主義。いい響きだ。さまざまな文化が平等な立場で共存できるような感じ。かくして世界平和が達成される――ような気さえする。 読解力は言葉が勝負。多文化主義とくれば多言語主義といきたいところだが、そうは問屋がおろさない。いろいろな文化を反映しているのはいいが、それがいろいろな言葉で書かれていたら、いろいろな国の子どもが受ける国際テストとして成り立たないからだ。 PISAの言語に関して、「調査問題の国際標準版は英語及びフランス語で用意され」ているという(1)。英語表記とフランス語表記の問題を正文とし、それを各国語に翻訳して使うのである。多文化主義だが二言語主義なのだ。 これがどういう状況かというと、たとえば日文学を素材として日語で問題提案したとしよう。提案された問題は

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