ボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞したときに、多くの人が驚いたのは、歌手がノーベル賞を取った、というポイントだった。 たしかに彼はシンガーである。ただシンガーとして受賞したわけではない。御存知のとおり、その歌詞を評価され、受賞した。 なぜ歌詞などを評価するのだろう、村上春樹のような小説家にあげるべきではないのか、という疑問も出ていた。 ボブ・ディラン受賞報道のあと、しばらくそういうやりとりがなされているのを見て、多くの現代人にとって、ノーベル文学賞の対象となる〝むかしながらの文学〟には、ほとんど興味を持っていないのだなと、あらためておもった。 高度資本主義・高度情報社会における文学のポジションのむずかしさである。 詩歌こそが文学の本道 ボブ・ディランがノーベル賞を受賞したのはもちろん「詩人」だからである。「英語文化の伝統のなかで偉大な詩人」だと評価されていた。 有名な歌手ボブ・ディランの
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