さいたま市浦和区の劇団「ミュージカル座」で76人が新型コロナウイルスに感染した。稽古(けいこ)場ではマスク着用や消毒が徹底され、専門家も「やれることはやっていた」と評価している。そんな現場で出演者ら91人の8割を超える大規模なクラスター(感染者集団)はなぜ発生したのか。取材を進めて経緯を探ると、劇団ならではの対策の難しさも見えてきた。【大平明日香】 ミュージカル座は1995年設立のミュージカル専門劇団で、一般向けの体験教室なども開いている。太平洋戦争の沖縄戦の悲劇を描いた代表作「ひめゆり」を96年から公演しており、今年も10月20~25日、彩の国さいたま芸術劇場(さいたま市)で公演予定だった。稽古に参加した劇団員は14人で、残りは他の劇団などからオーディションで集めた俳優。集団感染は、この公演に向けた稽古場で起きた。 劇団のホームページや、メールで取材に応じた事務局を担当する30代の女性劇