高倉健さん、菅原文太さんら昭和を彩った大物俳優が相次いで亡くなった。誰にも訪れるが、誰もが人ごとだと思っている死についてじっくりと考えた人は多かっただろう。そんななか、この20年の間に葬儀の光景で大きく変わった部分があるのをご存じだろうか。昭和の時代は当たり前に見られた「宮型霊柩車」。しかし、この宮型霊柩車が減り続け、このままだと消滅してしまいかねないという。原因は火葬場設置を巡る問題と、バブル崩壊以降ずっと低迷する日本の景気にあった。 宮型霊柩車とは、遺体を乗せる後ろ半分が御輿のようになった霊柩車。御輿部分は宮大工によって施された彫刻や彫金などで飾られている。あまり大きく取り上げられることはないが、伝統的な職人の技が随所に生きる“作品”だ。この形、モータリゼーションによって突然生まれたのではなく、日本の葬送文化の流れをくむものだった。 かつての日本では葬儀後、遺体が入った「輿」を葬列を組