陸上自衛隊の一部組織が、身分を偽装した自衛隊員を独断で海外に展開させ、諜報活動を行わせる。組織の扱いは極秘扱いされ、自衛隊最高指揮官の首相や防衛相にすら知らされていない――。そんなスパイ映画さながらの現実が日本にあるという。 隊員は、互いの本名も知らないまま都内などのアジトを拠点に活動を続け、友人と酒を飲むことや年賀状、近所づきあいも禁止され、通勤ルートは毎日変えることが求められている。外部との接触を断たれ、精神的にも社会的にも“壊れる”隊員も少なくないそうだ。 そんな陸自の秘密情報部隊「別班」を追い続けているのが、共同通信編集委員の石井暁氏(57)(以下、敬称略)。5年半以上の月日を取材に費やし、非公然の別班の存在を伝える記事を2013年11月に配信した。 「ホームで電車を待つ時は、最前列で待つな」「痴漢にでっち上げられることに注意しろ。酔っぱらって電車に乗るな」。そうした警告を受けなが