『風の谷のナウシカ』原案にあった終末論はなぜ消えた? 宮崎駿の思想を受け継ぐ、庵野秀明による”続編”への期待 マニアックなファンの間ではよく知られている通り、『風の谷のナウシカ』の原案には、宮崎駿のディープな思想が反映されていた。しかし1984年に完成したアニメ映画は、原案とさまざまな点で異なっており、ある意味“安全な作品”になっている。一体どんな違いがあったのか、この機会に振り返ってみよう。 少し経緯が複雑だが、『風の谷のナウシカ』には、宮崎自身が執筆した漫画版が存在する。この漫画は全7巻で構成されているが、映画版では2巻までが描かれた形だ。だが、本来重要なのは最終巻の結末だった。 漫画版の終盤では、ナウシカに衝撃的な事実が告げられる。彼女たちはすでに滅亡した旧世界の人間によって作られた存在であり、腐海の毒と共存することでしか生きられない改造人間だったのだ。 しかも腐海が浄化しきった世界