性同一性障害と診断され、生殖能力をなくす手術を受けていない一関市の会社員大滝洸(ひかる)さん(27)が戸籍上の性別を女性から男性に変更するよう申し立て、盛岡家裁は22日の家事審判で、生殖能力をなくす要件は憲法違反で無効だとして、性別変更を認める決定をした。 性同一性障害特例法には、性別変更の際に卵巣や精巣の除去といった生殖能力をなくす手術を事実上求める規定(生殖能力要件)があるが、最高裁は2023年10月に違憲とする決定を出した。家事審判は非公開。決定に沿う形で性別変更が認められ、当事者が公表したのは岩手県で初めてとみられる。 大滝さんによると、同家裁は最高裁決定を踏襲する形で「外科的な手術を受けていないことは判断に影響しない」と生殖能力要件を退けた。最高裁決定では高裁へ差し戻した「変更後の性器部分に似た外観を持つ」との規定(外観要件)も、大滝さんがホルモン治療を受けている効果で要件を満た