「パイオニアはすべてをやる」。これは昔、尊敬する西岡文彦さん(版画家・美術評論家)から聞いて、感銘を受けた言葉だ。 まず始めにモチベーションがなければならない。コママンガでいえば「絵で物語ること」、またアニメなら「絵を動かしたい」という素朴な動機でよい。ともかくこれは、ジャンルの成立に先駆けて内在している必要がある。 そこにハードウェアが発明される。マンガでいえば絵を大量印刷する技術の確立が最初にあり、次いでメディア(新聞)の発展があった。そこに誰かがフキダシやコマを組み合わせれば、絵で物語を紡ぐことができることに気が付いたのだろう。ここでのフキダシやコマは一種のOSである。記述の形式ができて、ようやく内容(ソフト)の出番となる。 もっとも思考の順序としてはそうなるが、実際には、新しいものが始まるときには一気にすべてが起こることが多い。マンガも映画も19世紀の最後の十年で基本技術が確立し、