病院再生ビジネスを謳い700億円を集めた新興企業が破産し、400億円超の資金が償還不能となった。投資説明には「丸紅」の会議室が使われ、「部長」が出席し、丸紅が元本保証するかのような稟議書が示された。が、稟議書は偽造で、「部長」は偽者だった。生き馬の目を抜く印象がある米証券大手をも手玉に取り、何百億円と吸い上げた巨額詐欺疑惑。資金が病院再生に投じられた形跡は薄い。400億円はどこに消えたのか。(坂田満城、川畑仁志) 最悪被害受けた「リーマン」が訴えた相手は「丸紅」 東京都中央区にある「アスクレピオス」という企業が裁判所に破産を申し立てたのは3月19日のこと。 知名度が皆無に近いこの企業の破産が大きく報じられることはなかったが、水面下では関係者の利害が激しく錯綜していた。その濁流はまもなく表面化する。 「病院再生事業」を謳って巨額の投資を募っていたアスクレ社は700億円を超す資金を集めていたが