辻野 デザインが重要だ、ということをトップがものすごくよくわかっていた。これにつきます。なにせ、デザインセンターが社長直轄の部門として置かれていましたから。デザイン業界では、当時ソニーのデザインセンターで働くのはステイタスだったんです。 トップがデザインに関与する、とはどういうことか。それは、単なる製品のデザインをかっこよくする、という話じゃないんです。自社の製品を通じて、人々の生活を、まさにライフスタイルを、もっともっと素敵な方向に変えていく。 ライフスタイルまでをもデザインしよう、という大きな企業理念をトップが持ち、その理念に製品のデザインが呼応する、というサイクルが出来上がっていたんですね。 和田 私が武蔵野美術大学でデザイナーを志していた80年代初頭も、ソニーやホンダは憧れの会社でしたね。ソニーのみならず、商品全般の「デザイン」にワクワクする時代でした。 今よりもむしろデザインが市