先進国の中でも類をみない少子高齢化時代に突入した日本。30~40代という働き盛りの時期に両親の介護問題に直面する人も少なくない。都内の印刷会社に勤めていた上田仁美さん(仮名・39歳)もその1人だ。 上田さんに故郷の長崎から悲しい知らせが届いたのは、今から1年ほど前のことだった。 「お母さんが自転車で転倒して骨折したんです。明らかに状況がおかしかったので病院で調べてもらうと、パーキンソン病と診断されました。私は1人娘で、父が『自分だけでは面倒が見きれない』というので、地元に帰って働くことにしました」 社交的で面倒見もよく、友人が多かった上田さんの母。掛け持ちで複数のパートをこなすほどの働き者だったが、病魔はその言動をガラリと変えてしまった。 「飲む薬が毎月変わるのですが、中には副作用がきついものもあって、無気力になったり足のふるえが止まらなかったり……。母は料理が好きなのですが、味覚がなくな