父から手紙が届いた。 手紙の書き出しには、「特に急いで伝えたいことがあるわけではないので、びっくりしないでほしい」とあった。 きっと自分なりに何かをしているのだろう。何をしているのかを聞いたとしても、わからないので聞かないが、父親として、ひとつだけアドバイスしたいことがある。 お金が無いだろう。明日の一食のために、もしくは今日の一食のためにお金を稼ぐ日々かもしれない。生きていくつらさと苦しさを、噛み締めている様子が目に浮かんでくる。君くらいの歳のとき、父もそうだった。ましてや外国だ。寂しさが募るだろう。 君がそこで生きていくために今していることが、どんなにつまらないことであっても、自分のビジョンが何かを考え続けてもらいたい。ビジョンとは夢であり、描く未来であり、展望のことだ。そうすると、いくつも思いつくことがあるだろう。けれども、そこに落とし穴がある。 そのビジョンを紙に書いて、じっと見つ