私は、事情はどうであれ、ベビーカーを押している人間に対しては、周囲の人々が最大限の譲歩を提供してしかるべきで、こういうケースについて、自分の都合や迷惑を云々するのは、文明人として恥ずかしい態度だ――といった感じの感想を抱いた。百点満点の優等生なご意見ですねと言われてしまえばその通りなのだが、私の脳裏には、この時点では、以上に述べたまことに正しい見解以外はまったく思い浮かばなかったのである。 事実、多くの先進国において、ベビーカーは、車椅子と同じく、最優先で優遇されている。日本の母親が車両内でベビーカーを畳むことを求められているなんてことが国際社会に知れ渡ったら、それこそ赤っ恥である。 ということは、この種の問題について、両論併記でお茶を濁している新聞社もまた、不見識であると申し上げなければならない。 社会の公器を自認するのであれば、ここは一番、「ベビーカーが乗せているのは日本の未来です」ぐ