サッカーの審判員に特化したDVD『レフェリング ―Laws of the Game―』が発売となり、構成を務めたジャーナリストの石井紘人氏に特別寄稿してもらいました。かつてW杯でも笛を吹いた岡田正義元主審が、知られざる秘話から、審判員のあり方について述べています。 *** 「サッカーには文学になったたくさんの孤独がある。しかし、本当に孤独なのは主審なのだ」 あのコッリーナが好きなダーヴィン・パストリンの言葉は、ある意味では「かくも多くの人が、かくも多くのことを、かくも少ない人に依存」するという特殊な状況を物語っている。 多くの人々に試合中の行動を監視され、批判される審判員という仕事は、その特殊な状況を日常としなければいけない。とはいえ、彼らはその特殊な状況に興奮を覚えているわけではない。ただ、単にサッカーが好きなだけというサッカー馬鹿の集団とも言える。 しかし、審判員に対し、敵対感情を抱