「なんとか勝ち点1を取れてホッとした」 稲本潤一は、安堵の表情を見せた。 「勝てる試合だったので残念だった」 小野伸二が厳しい表情で、答えた。 ふたりが並んで、試合後のインタビューに答えている。 それは、ちょっと奇妙な光景だった。 ふたりがいるのは、いつもの日本代表のミックスゾーンではない。青空が眩しい等々力競技場のピッチ上。しかも二人が身にまとっているのは、日本代表の青いユニフォームではなく、稲本は背番号20の黒と青のユニフォーム、小野は背番号30番の白色のユニフォームだった。 3月27日、Jリーグ第4節、川崎フロンターレ対清水エスパルス戦、稲本はガンバ大阪、小野は浦和レッズ時代に対戦した1998年5月2日以来、4347日ぶりに、ふたりはJでの対面を果たした。 小野も稲本も一緒に世界レベルを知り海外移籍を実現した。 1999年ナイジェリア・ワールドユースで刺激を受け、世界に飛び出たのは、