憲法上、国民の義務をどう考えればよいのか。日本国憲法は国民の義務として、子女に教育を受けさせる義務(第26条2項)、勤労の義務(第27条)および納税の義務(第30条)を定めている。これら憲法に明記されているもののほかに、国民は国家に対し何らの義務も負っていないのだろうか。あの美濃部達吉も要求 東京帝大教授を務め日本国憲法作成の審議にも加わった憲法学の泰斗、美濃部達吉の言を引こう。 「国民の国家に対する義務としては、第一に国民は国家を構成する一員として国家に対し忠誠奉公の義務を負ふものでなければならぬ。国家は国民の団体であり、国家の運命は国民に繋(つなが)って居るのであるから、国民は国家の存立とその進運に貢献することをその当然の本分と為(な)すものである。第二に国民は社会生活の一員として社会の安寧秩序を保持し、その秩序を紊(みだ)すべからざる義務を負ふと共に、更(さら)に進んで積極的に社会の