先行きが見通しにくい2009年。困難な時代には新しいリーダー像が生まれるはずだ。これまでも企業経営や政治に新しい時代を切り開いたリーダーがいた。そんな時代のリーダーを日経ビジネスが描いた当時の記事で振り返る。 (注)記事中の役職、略歴は掲載当時のものです。 事業拡大へのひたむきさと、他人の力を極限まで利用するしたたかさ――。安藤百福・日清食品会長の内面ではこれらが自然に融け合い、独特のモラルを形成している。48歳で即席ラーメンの製造に乗り出し、時には人に感銘を与え、時には人をあぜんとさせるエピソードをふりまきながら、突っ走ってきた。台湾で生まれ、日本で幾度もなめた挫折の苦しみ。そこから生まれた過激なほどの自立志向は、しかし、長男には通じなかった。(文中敬称略) (平田 育夫) 安藤 百福(あんどう・ももふく)氏 明治43年3月5日、台湾生まれ、75歳。メリヤスの販売をはじめ数々の事業を