食中毒の季節。妊婦が感染すれば流産や早産を引き起こす病原菌がある。主に食べ物を介する「リステリア菌」だ。チーズやハムなど、口にすることが多い調理済み食品にも付着している。厚生労働省は「妊娠中はどんなものも火を通して食べて」と、注意喚起に力を入れている。【鈴木敦子】 ◇低温でも増殖 多くの食品に付着 ◇国内規制なし 妊婦は必ず加熱を リステリア菌は自然界に広く存在し、野菜や食肉、乳製品、魚介類から検出されている。東京都健康安全研究センターが00~03年に市販食品を調べると、ソーセージや一夜干しのあたりめ、ぬか漬けきゅうりからも見つかった。 世界保健機関(WHO)によると、リステリア菌による食中毒の発症は「100万人あたり0・1~10人で比較的まれ」だが、「全症例の約40%が妊娠に関係しており、流産、早産、死産および新生児疾患の原因にもなる」という。妊婦は抵抗力が弱いため感染しやすく、胎児にも