●「群像」10月号に載っている石川忠司・保坂和志対談は、とても面白いと同時に、とても難しい。ここで語られていることの一つ一つを、たんに面白いエピソード(というか「考え」)として読むならば、それほど難しくはないかも知れないけど、それら、語られてい一つ一つの事柄相互の関係や流れ全体で「何を」言おうとしているのかを掴もうとすると、とても骨が折れる。 ●例えば、「未然問題」というのが語られる。もしかしたらこの対談が行われたかもしれない日(実際には行われなかった日)に、猫に下剤を飲ませ過ぎて体調を悪くさせてしまった。もしその日に対談が行われていたとしたら(相手の都合で他の日にならなければ)、その日に猫の世話をする余裕はなく、下剤を飲ませることもなく、つまり体調を崩すこともなかったのに、という可能性を想定することが、相手への逆恨みにつながる。しかし、本当にその(実際には行われなかった)日に対談が行われ