このあいだ小学校の同級生三人と会って、鎌倉で酒を飲んだ。卒業は一九六九年三月だから四十一年ぶりだ――と、会うきっかけとなった今村は思っていたのだが、今村とは高校の頃に何度か鎌倉駅や横須賀線の中で会ったり、一度は家に来たりもしたが、今村はそんなことはすっかり忘れていた。 通販のカタログ雑誌の編集者が去年の秋、 「保坂さん、何かお奨めのギフト食品はありませんか?」と言ってきた。私は食べ物にはほとんどこだわりがない。あれが旨い、これはいいんだけどちょっと……みたいなことを言うのはさもしい気がする。「このあいだ誰々の結婚式に出たんだけど、料理がよくなくてさあ。」なんて、おまえは結婚のお祝いに行ったんじゃなくて飯を食いに行ったのかと言いたくなる。勤め人時代、同僚がよく「××部の△△課長がちょっと相談があるって言ってるんだけど、おまえも来てくれよ。」と言ってきて、私が面倒くさいからイヤだと答えると、