ブックマーク / jun-jun1965.hatenablog.com (10)

  • 「大江健三郎がいた日本」の私     小谷野敦(作家・比較文学者) - jun-jun1965の日記

    (時事通信配信) 大江健三郎氏が亡くなられた。かつて谷崎潤一郎が死んだ時、三島由紀夫は、「谷崎朝時代」が終わったと評したが、私には、その少し前から始まっていた「大江朝時代」が今終わったと言いたいところである。大江氏は、東大五月祭賞を受賞し、「東京大学新聞」に発表された「奇妙な仕事」を、文芸評論家の平野謙が文芸時評で取り上げることによって、一躍有望な新人としてデビューし、ほどなく「飼育」で芥川賞を受賞したが、私には「奇妙な仕事」こそが初期大江において最も斬新な作品だと感じられる。当時、東大仏文科に在学中で、卒業とともにいきなり多忙な人気作家生活に入った大江氏には、苦しい時期が断続的に襲ってきた。高校時代からの年長の親友だった伊丹十三の妹と結婚し、精神的な安定をみたのもつかの間、浅沼稲次郎暗殺を題材にした「政治少年死す」を発表して右翼の脅迫に遭い、さらに脳に障碍のある男児・光が生まれ、彼ととも

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    batti-8 2023/03/24
  • 「女犯2」のまとめ - jun-jun1965の日記

    バクシーシ山下のアダルトビデオ「女犯2」は、トラウマになる。しかしまとめサイトなどないようなので、まず時系列にして、注釈を加えることにした。 1990年9月「女犯2」リリース 1991年10月6日 「自主講座の仲間」というグループがこのビデオを問題視し、「AVビデオ『女犯2』を考える」という催しを行い、バクシーシ山下を呼ぶ。会員では若槻世都子の名が出ている(足立)。 その後、「V&R」は、飯島あつ子が、強姦の演技について承諾した様子を撮影したビデオの提出を拒否する。 1992年 足立倫行が著書『アダルトな人びと』(講談社)でこの件を取り上げるが、むしろバクシーシに好意的。(のち文庫化) 同年、「AV人権ネットワーク」がバクシーシを糾弾し、その性被害に遭った者相手のホットラインを二日間設けるが、連絡はなし。 この間、石坂啓が「東京新聞」でバクシーシを非難したとバクシーシ著にあるが、確認できず

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    batti-8 2023/02/06
  • 演劇評論家は嫌われる? - jun-jun1965の日記

    歌舞伎評論家・研究者の渡辺保のウィキペディアには「「田舎の人は演劇より北島三郎のほうが好きなんですよ」と差別発言をしたことがある」と書いてあった。今では「差別」は削除されている。 大学で演劇を研究して、こんなものは売れないと覚悟している人はいいのだが、一般向けに演劇のを出したりして、その売れなさに愕然としたりすると、日人は演劇に足を運ばない、関心がないという怒りにとらえられ、みなもっと演劇に行け、と発言して、一般庶民から嫌われることがある。 映画ができ、さらにテレビができて、廉価に演劇の類似物は楽しめるようになったのだから、一般庶民が高い演劇なんか行くわけないし、そんな常設劇場があるのは東京や大阪などの都市部だけである。それを、大学の先生をしたり評論家をしたりして、時には招待券なんかもらって演劇に行っている者から「演劇に行け」と言われたらまあムッとするわな。 もちろん彼らは、生身の演劇

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    batti-8 2021/09/28
  • 2020年度小谷野賞 - jun-jun1965の日記

    沢山美果子「性からよむ江戸時代」岩波新書 馬部隆弘「椿井文書」中公新書 (奨励賞)高木まどか「近世の遊廓と客」吉川弘文館(高ははしご高) (短篇小説賞)岡崎祥久「キャッシュとディッシュ」『文學界』2020年8月

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    batti-8 2021/06/03
  • ■ - jun-jun1965の日記

    『文芸日女道』の532、533号が届いた。今度は名で注文したが、26日に振り込んで今日である。途中で催促の電話をし、昨日は内容証明を出してしまった。 それはさておき、533号の森穫の連載の最終回はすごい。『事故のてんまつ』のヒロイン「鹿沢縫子」について、父と母の籍から生まれから何から何まで調べ尽くしてある。もっとも肝心の人には取材拒否されたようだ。 もっともここに大笑いなのは、532号の「巻頭言」を森は書いていて、私の『現代文学論争』に触れ、私が当時週刊誌などに出た、関係者の名前を書いていると言い、被差別部落も関係しているのだからどれほど迷惑がかかるか、と書いていることで、もはや二重基準ですらない、お笑いとしか言いようがない。もっともよく見ると、イニシャルになっている人がいる。そのイニシャルになる基準が、「被差別」かどうかということなのだが、77年当時の報道では、「縫子」の、実父

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    batti-8 2017/12/06
    “森本穫”
  • 高見順の子供 - jun-jun1965の日記

    (活字化のため削除)

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    batti-8 2014/09/02
  • 歴史中二病 - jun-jun1965の日記

    先日、郷和人さんに、「東大史料編纂所の史料だけ使って日史を書いてください」と言っていたのがいて、そんなことができるはずはなく郷さんもそう答えていたが、私は、典型的な「歴史中二病」だなと思ったのである。 はじめ、人は、歴史に書いてあるのが歴史だと思う。次に、『平家物語』のような古典に書いてあるのが歴史だと思う。だがさらに歴史学者のなど読むと、古文書、古記録などが「一次史料」であって、歴史学者はそういうものを、ぐにゃぐにゃ文字から読み解いて研究するのだと思う。そして佐藤進一の『古文書学入門』などを読んで、すげえ、これが当の学問だと思い、小松茂実の古筆学などを知ってさらに興奮し、『国史大系』の端など買いこみ、大河ドラマを観る人間を軽蔑し、自分は歴史の研究の蘊奥を究めたと勘違いし、歴史なら何でも来いだと豪語するに至るのである。 私は英文科にいたころ、図書室で古活字のシェイクスピア全

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    batti-8 2013/06/23
  • アインシュタイン・ショック - jun-jun1965の日記

    翻訳のひどさがニュースにまでなるというのも珍しい。私も、いくつかの、ひどい翻訳というのを見てきたが、まあそれはいいとして、 『アインシュタイン その生涯と宇宙』は、 監訳:二間瀬敏史(ふたませとしふみ、1953- ) 東北大学理学研究科教授、東北大理学博士 訳者:松田卓也(1943- ) 神戸大学名誉教授、京大理学博士 訳者:関宗蔵(1944?- ) 東北大名誉教授、天文学 訳者:松浦俊輔(1956- ) 元名古屋工業大学助教授、翻訳家 であるが、上の二人は「アインシュタイン」ないし宇宙物理学の専門家である。松浦は「駒場学派」で、多くの科学系の翻訳を出している。二間瀬、松田も、翻訳は出している。ただし、松田は単独でも出しているが、二間瀬は松田と一緒か、誰かと一緒である。関は、一冊も翻訳はない。著書もない。国内で論文は英文のものが三あるが、まあ海外で発表したものがあるのだろう。なんで翻訳し

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    batti-8 2013/01/05
  • 「悲望」批評総括 - jun-jun1965の日記

    文藝雑誌は毎月七日発売である、などということは多くの人は知らないだろう。『文学界』と『群像』に「悲望」評が出たので、所感(弁明?)を述べておきたい。それにしても、雑誌に何かが載っただけでいろいろ評してもらえるというのは、小説家というのはずいぶん甘やかされているんだな、と思った。ただ全体に対して何か言うのは時期尚早あるいは不要なので、気になった箇所だけ触れる。 『文学界』の「新人小説月評」は、森孝雅と福嶋亮大。森は、甘んじて受けると言っておいた、小説になっていないという評。しかし、「もう少し時間をおいて、作品として差し出すことはできなかったのか。あるいは、どうしても今、これを書かねばならない事情があったのか」と結ばれているが、別にワインではないのだから時間をおけば小説になるというものではないと思う。小説になっていないとすれば、私に才能がないからに過ぎない。あれは十年くらい前に書いて、二年ほど

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    batti-8 2011/08/28
  • 戦後文学者チャート - jun-jun1965の日記

    ふと思いついて、こんなものを作ってみた。もちろん位置は暫定的なもので、政治的左右についてはっきりしている人もそうでない人も、前期と後期で変わった人もいるし、私小説云々についてはさらに分からないので暫定である。もっとも気づくのは、右側の上と下がくっきり分かれている感じであることで、右下は「志賀直哉-小林秀雄」派、右上は福田恆存-三島由紀夫派とでも言おうか。 字が小さくて見えないようなので、後日何とかします。 http://homepage2.nifty.com/akoyano/chart.png ↑ ここから大きいのがとれるみたいです。 - ところでいつも思うことで、言ってもいるのだが、書評などを仕事にする人は、見ているとむやみと新刊を読んでいるが、いったいいつ古典的作品を読むのだろう。それとも、古典的なものは若いころにみな読んでしまったのか、あまり読んでいないのか。私など、古いものを読むの

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    batti-8 2010/04/05
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