故郷の山には呪いじみた言い伝えがたくさんあるが、なかでも「お盆に殺生すると口が曲がる」というものは、お盆における不殺生戒律を的確に言い表す言葉として、代々大切に受け継がれている。 迎え火を焚いて先祖をお迎えする8月13日から、送り火で先祖を見送る8月16日の間、山では動物を食べることはもちろん、虫や害獣駆除も基本的には許されない。理由は「ご先祖さまが、どんな姿を借りて現世に帰ってきているか分からないから」である。 山全体が集団催眠にかかったような雰囲気に包まれるお盆の時期、集落では「死んだはずの先祖が普通に座敷でくつろいでいる姿」や「墓石に座って手を振っている姿」などが、わりと当たり前に報告される。 ちなみに私の祖母の初盆では、先祖代々の墓に現れた祖母が、扇を手に得意の日本舞踊を踊り狂っている姿が、複数の住民に目撃された。 このように、生前そのままの姿で現れる先祖は分かりやすいが、なかには

