私は,今年4月より岐阜大学に赴任している予定ですが,表題の研究を行なったのは琉球大学教育学部でのことです。1993年4月琉球大学教育学部に助教授として赴任した時,実験設備はほとんどなく1年目は講義と学生実験の準備にあけ暮れました。教養部にあった60 MHz NMRはTMSが7重線に出るような調子の悪い装置で,私の実験に使える時間も考えると当時やろうとしていた生理活性物質の全合成は無理でした。そこで,合成計画の中の一つの反応であるZ-選択的Horner-Emmons反応の研究を行うことにしました。Stillの開発した3はこの反応に広く用いられ,定評のある試薬でした(現在も)。しかし,5当量用いる18-crown-6は高価で吸湿性の高い薬品で,用いる塩基KHMDSはわずかな水分により分解してしまう高価な薬品です。「実用的な試薬の開発をやろう」と考え,文献検索をした所,さらに1と4が見つかり,ア