ブックマーク / note.com/kenitikitani (6)

  • 憧れの天抜き(天ぬき)|キタニケンイチ

    テンヌキって何ですか―― ス『天抜きっていうのは、天ぷら蕎麦から蕎麦を取ったものの事』 コ『それじゃ、天ぷらじゃないですか』 ス『違うよ君。天ぷらはね、皿に盛った天ぷらを天つゆに付けて、からっとしたのをべるの。天抜きはねぇ、丼に甘辛い蕎麦つゆがたっぷり入っていて、そこに天ぷらが浮いてるの。この味は蕎麦屋の天ぷらでなければ味わえないよ。あの甘辛いつゆをたっぷり吸ったぐずぐずになった衣、あれが酒に合うんだなぁ。まさに江戸の味だよ』 藤山新太郎著 東京堂出版「そもそもプロマジシャンというものは」江戸の味かぁ、美味しそうだなぁ。ふとから顔を上げると、自分でも意外なほどに、いかにも間抜けそうな声が出た。 今から10年ほど前の話だ―― 僕は元々九州のど田舎の生まれだ。山の中の限界集落と言ってよいようなところで、それほど高くない山の麓から頂上に伸びる1の道に沿ってポツポツと家が建っている。まともに

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    beed
    beed 2022/04/24
  • 「やりたいこと」より「やれること」をやるのも悪くない|キタニケンイチ

    やりたいこと、自分の好きなことでべていけたらいい。きっと誰もが思うことじゃないだろうか。僕もずっとそう思ってきた。 僕はマジシャンになりたかった。もちろん物の魔法使いではない。手品師というやつだ。20代の10年間はマジック抜きには語れない。マジックと出会い、のめり込み、プロマジシャンになりたいと真剣に思っていた。 新卒で入った会社を辞め、プロマジシャンの名刺とパンフレットをいろんなところで配り、自ら飛び込み営業をして得たイベント出演の仕事をコツコツやった。ステージのあるショーパブのような店で店員をしながらマジックを演じ、夢だった自分のマジックバーを開店した。 だが、マジックバーは経営がうまくいかず、自分の店を優先させた結果、それまで収入のメインであったイベント出演などの他の仕事はなくなってしまった。裕福とは言えないまでもなんとか自分ひとりうくらいの収入は得ていたのだが、その収入も途絶

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    beed 2022/04/17
  • 僕を変えてくれた恋と魔法|キタニケンイチ

    かなり恥ずかしい話だが、僕が20代の頃の話をしたい。個人の特定を避けるため、また話をシンプルでわかりやすくするため多少の改変をしているが、話の流れは僕の思い出そのままである。 十数年前、20代前半くらいまで僕はとにかく人が怖かった。 当時はコンビニに行くとレジに店員がいるので買い物ができないとか、道ですれ違う人がいつ襲ってくるかわからないから怖いとか、気で思っていた。だからネットショップで仕入れたキーホルダー型の小型催涙スプレーを肌身離さず持ち歩いていた。職質にあったらそのまま警察署に引っ張られていそうだ。 当然ながら友人などと呼べる人は誰もおらず、異性と付き合うなど考えられる状況ではなかった。僕は一生ひとりで生きていくのだろうと思って、ハタチそこそこで実家の土地を親から譲り受けて家を買ってしまう暴挙にでたくらいだ。今はとても後悔している。 そんな僕が変わるきっかけになったのはマジックだ

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    beed 2022/04/10
  • 勝利の女神は努力した者に微笑まない|キタニケンイチ

    県大会で4位。高校生の部活動では決して悪い成績ではない。平均より上。喜んでもいいくらいの成績かもしれない。部活に真剣に取り組んでいない者にとっては、、、だがーー 4位敗退ーー全国を目指し、部活に全力を注いできた者にとって、それはあくまで敗北でしかない。 高校2年生の秋。それが僕の全国大会優勝へ向けた最初の挑戦の結果だった。 工業高校に通っていた僕は”機械研究部”という、一見何をやっているのかわからない部活に入っていた。主な活動内容はロボット競技会、いわゆるロボコンというやつへの出場を目指してロボット作ることである。 ロボコンは高専ー工業高等専門学校のものが有名でNHKでも放送されたり、映画の題材になったりもしているので(あ〜、あれか!)と思い浮かぶのではないだろうか。だが、ロボット競技会とひとことで言っても実はいろんな形式の大会や部門がある。 その中で僕はライントレーサーレースに挑戦してい

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    beed 2022/04/09
  • 立てこもり犯との戦い|キタニケンイチ

    春になると変な人が増える。昔からよく言われることだけど、毎年この時期になるとたしかにそのとおりだなと思わされる。なにかそう思わされるようなトラブルが起きるのだ。今日は数年前の春に僕が実際に体験したある事件について話したいと思う。 「カンパーイ」上司の長い挨拶が終わり、すでに泡の消えかかったビールを喉に流し込む。うまい。よし!飲むぞ〜!!そう思ったときだった。 「きったんさん、ちょっといいですか?」と、飲み会に似つかわしくない真面目なトーンの声がかかった。嫌な予感がする。まったく、やっとのことでビールにありついたのになんだというのだろうか―― 春は出会いと別れの時期だ。入学、卒業、就職、そして人事異動。僕の職場は都内にいくつかの営業所を展開している不動産屋で、毎年3月から4月にかけて定期的な人事異動がある。その日は別の営業所への配置換えや社への栄転が決まった人たちの送別会だったのだ。 送別

    立てこもり犯との戦い|キタニケンイチ
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    beed 2022/03/18
    この時期に変な人が増えるのはなぜなんだぜ?
  • 自販機前の小さなすれ違い|キタニケンイチ

    僕はMコーヒーが好きだ。 ダイドーブレンドMコーヒー。Mはミルク&マイルドの頭文字らしい。いや、ちゃんと調べたわけではないので間違っているかもしれない。ともかく缶には「MILK&MILD」と書かれている。たぶんあっているだろう。 コーヒー牛乳のようなとにかく甘ったるい味。子供舌だと笑うものもいるかも知れない。しかし、あれこそが酸いも甘いも知っている大人の味だ。なんといっても苦かったらまずい。 ともかく、僕はMコーヒーが好きなので売っている自販機を見かけたら高確率で買う。近所のダイドードリンコの自販機はだいたい知っている。 そんなわけで僕は自販機をよく使うのだけれど、自販機にはトラブルがつきものなのである。有人の店舗なら起きない、起きても指摘すればすぐに解決するトラブルも自販機では大きな問題になる。 例えば、値段設定が間違っている。500円玉を入れて120円の商品を買ったのにお釣りが370円

    自販機前の小さなすれ違い|キタニケンイチ
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    beed 2022/03/02
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