ビームスが発行する文芸カルチャー誌 IN THE CITY でも大好評だった詩人・最果タヒの新連載が登場。好きな「漫画」を、詩人の言葉で見渡すエッセイ たとえば青春を描いている物語を読むときの、自分は絶対に主役にはなれなかった人だ、とか、その世界観におけるモブでしかなかった、と思うときの息苦しさ。そこに渦巻いているのは物語に描かれている青春ではなくて、自分が叶えられなかった「青春」への憧れと悔いなのだけれど、でも、本当にそうなりたかったのか、それとも他人が決めた「青春」の価値に飲まれているだけなのか、考えれば当たり前に後者だなぁとわかってはいるのだ。屋上で友達と一緒にパピコを分け合うとか、夏祭りに浴衣を着て行くとか、部活の帰りにラーメンを食べるとか、そういうのって、別にやりたいことではなかった、パピコはそんな好きではないし、夏祭りは人混みが嫌で、ラーメンは一人で食べに行ったほうが楽。それで