小坂井敏晶氏の代表作『責任という虚構』が増補版としてちくま学芸文庫より刊行されました。これに合わせ、著者よりPR誌「ちくま」へご寄稿いただきました。どうぞお読みくださいませ。 著名人が違法薬物で検挙され、マスコミが一斉に騒ぎ立てる。そしてテレビカメラの前で容疑者が謝罪する。この儀式は何を意味するのか。 麻薬・売春・同性愛・ポルノグラフィ・堕胎・近親相姦などは「被害者なき犯罪」と呼ばれ、処罰の是非が論議されてきた。麻薬や覚醒剤は危険だから生産者や売人は厳しく取り締まるべきだ。だが、タバコやアルコールと同様、害を受けるのは使用者である。魔がさして薬物に手を出し中毒になれば、患者であり被害者ではないか。こう考えるヨーロッパ諸国ではメサドンなど代用品を中毒患者に無償供与している。自主的に行う売春のどこが悪いのか。罰すべきは売春を営むマフィアだろう。同性愛は各自の性的指向として認められ、処罰する国は
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