何十万人もの怒れる群集からその30年にわたる独裁を糾弾されるなか、エジプトのホスニ・ムバラク大統領の口から発せられたのは謝罪とは程遠いものだった。2月1日夜、国営テレビに姿を現したムバラクは悪びれた様子もなく、ただ大統領として6期目は目指さない、国内の安定と治安を守ると誓っただけだった。 さらに自らの実績を弁護し、「エジプトの土の上で死ぬ」と語り、チュニジアのジン・アビディン・ベンアリ大統領のように国外逃亡するつもりはないことを示唆した。 カイロ中心部のタハリール広場に集まったデモ隊は直ちに、あらためてムバラクの追放を要求。まだ向こう数カ月間も大統領の座に居座ろうとするムバラクを強く拒んだ。 ムバラクはこのテレビ演説でまたしてもミスを犯したようだ。こうした間違いが重なり、彼はベンアリと同じ運命をたどることになるだろう。ムバラクはこれまでにどんな大きな間違いを犯してきたのか。 1)富の分配を