タグ

ブックマーク / honz.jp (167)

  • 『えんぴつの約束』感動の中にある戦略 - HONZ

    作者:アダム・ブラウン(「ペンシルズ・オブ・プロミス」創設者兼CEO) 出版社:飛鳥新社 発売日:2014-10-25 発展途上国に学校を創る、というありきたりの青春話である。日でも現役の医大生が、150万円で学校を建てられるというポスターを見て、その偶然の出会いから学校を建てたストーリーが話題になった。チャリティーイベントを開き、寄付を集め、カンボジアに学校を建てた。そして、それは向井理が主演した『僕たちは世界を変えることはできない』という映画にもなった。 書の主人公アダム・ブラウンのストーリーもどこかで聞いたかのような、ありふれたものだ。それはインドを旅したとき、子どもに欲しいものを聞いたときのことだった。 「えんぴつ」 「ほんとに?」 この会話から、ペンシルズ・オブ・プロミスという組織名が生まれた。後に何度もアダムが語ることになるストーリーのはじめの一歩である。その後、その出来事

    『えんぴつの約束』感動の中にある戦略 - HONZ
    benzina
    benzina 2014/11/26
  • 『黒幕』 - 最後の情報屋は、右と左と表と裏を制した男 - HONZ

    部数は1000部に満たないほど。月2回の発行で、購買料は法人120,000円、個人36,000円(年額)。一般の人にはほとんど知られていない情報誌を発行しているだけなのだが、マスコミ人の誰もに知られ、一流企業の重役たちがその元へと足繁く通う男がいた。 それが最後の情報屋ーー石原俊介。「兜町の石原」とも呼ばれた男は、情報を生業とする人間にとって必ず挨拶すべき人と位置づけられ、彼が発行する『現代情報産業』は、”プロ”だけが手に取る読み物であったという。 書は、2013年に亡くなった彼の知られざる半生を追いかけた一冊である。だがその半生は、世間を賑わせた経済事件歴史そのものでもある。撚糸工連、平和相銀、リクルート、イトマン、東京佐川、金丸脱税、ゼネコン疑獄…。 その種の事件の裏側には、必ず石原氏の痕跡が残されていた。 彼の特長は、「人脈交差点」という立ち位置の巧みさにあった。若い時分には共産

    『黒幕』 - 最後の情報屋は、右と左と表と裏を制した男 - HONZ
    benzina
    benzina 2014/11/24
  • 実在した秘密結社ベスト5~フリーメーソンから現代まで 『世界陰謀全史』より - HONZ

    陰謀論というものは、虚妄でありまともに取り合うべきではない。普通はそう考えると思います。しかし、書の著者で、平凡社の名物雑誌「太陽」の編集長でもあった海野弘氏は次のように書きます。「世界は謎である。世界は秘密と陰謀に満ちている。そのような世界を解読したい、はっきりと見たいと思う時」、陰謀論が必要となる、と。逆を言えば、陰謀論とは、世界をはっきりと見たい、解読したいという願望が呼び起こすものなのです。 つまり、過去に存在した陰謀論を俯瞰し、現在跋扈する陰謀論を眺めることで、これまでの、そして今の人々が、どのように世界を読み解こうとしているのか、その欲望を知ることができるのです。陰謀論なしに世界を「解読」することはできない、しかし、陰謀論をむしろ解読することで、世界を解読しようという人々の欲望を読み解くこともできるのです。 さて、実際に様々な陰謀論を読み解くのは書のほうに委ねて、稿ではこ

    実在した秘密結社ベスト5~フリーメーソンから現代まで 『世界陰謀全史』より - HONZ
  • 『日本-喪失と再起の物語』今いちどこの国を見つめる - HONZ

    これからも日は沈み続けるのだろうか。それとも、いったん没しかけた太陽は自らを大きく変革し再び昇るのだろうか。あるいは成熟国家として、ある程度の富を保ちながら退屈ではあるが緩やかで穏やかな社会を、長期間にわたり維持し続けるのだろうか。その答えは誰にもわからない。なぜなら歴史とは常に一つの方向にのみ流れ続ける川ではないからだ。それに、私たちがどのような社会を建設していきたいのかというコンセンサスが今の日社会の間にあるとも思えない。 ただ、今の日が大きな歴史の分岐点に立っているという認識は広く共有されているのではないだろうか。そんな時代の空気感こそが、昨今の「日は素晴らしい国」といった内容のテレビ番組の氾濫の原因でもあるのだろう。書の著者も間違いなく日は素晴らしい国だと思っている。しかし、それは日人が好み、日贔屓の外国人も同意するような日人特殊論に依拠してはいない。 それ故に、日

    『日本-喪失と再起の物語』今いちどこの国を見つめる - HONZ
  • 『黒の文化史』by 出口 治明 - HONZ

    ややペダンチックなではある。でも美術好きにはたまらないだろう。なにしろ、扉絵がダ・ヴィンチから始まるのだから。光がない光源色としての黒、光の反射率がゼロですべての波長の光を吸収する物体色としての黒、黒は生命に敵対する色とも言われるが、世界の喪服には黒と白がある。また結婚式の礼服も白と黒。書はこのように、極めて多義的な(両極端の意味とも結びつく)黒に捧げられたオマージュである。 黒は最古の色であった。黒曜石、ラスコーの「黒い雄牛」からインドのカーリー女神に至るまで(第1章)。古典古代のアッティカの壺の黒絵から、黒い聖母へ。そして「多神教から一神教への変遷過程において、黒という色の価値も根的に変化していく」、「神話における光と闇との広大無辺なせめぎ合いは、信仰におけるそれとまるで合致しない」から(第2章、第3章)。話はアラビアへ。カアバ神殿の「黒石」、そしてイスラームの黒はスペインを通じ

    『黒の文化史』by 出口 治明 - HONZ
  • 『粘菌 偉大なる単細胞が人類を救う』“単細胞”は、もはやアホの代名詞ではない - HONZ

    物理学賞のトリプル受賞により日を沸かせたことで記憶に新しい、ノーベル賞。その陰で、権威や注目度は大きく違えども、独特な存在感を醸し出している賞がある。イグ・ノーベル賞だ。「まずもって人々を笑わせ、次に考えさせる研究」に対して贈られ、今年日からは、北里大学の馬淵教授らの「バナナの皮を踏むとなぜ転びやすくなるか」を学術的に解明した研究が「イグ・ノーベル物理学賞」を受賞。バナナ片手に歌いながら研究成果をスピーチする姿も話題になった。 日人の受賞は今年で8年連続と、実は家よりハイペースな受賞頻度を誇るこの賞。その栄誉(?)に2度も輝いたのが、粘菌の生態に関する研究である。著者は粘菌をはじめとする単細胞生物の研究を続けて25年になる研究者で、2度の受賞の中心人物だ。 粘菌。日常生活ではなかなか口にしない名前だが、実はちょっとした藪や都会の植え込みにも潜んでいる身近な生物だ。湿気を好み、特に森

    『粘菌 偉大なる単細胞が人類を救う』“単細胞”は、もはやアホの代名詞ではない - HONZ
  • 8月の今月読む本 その2 - HONZ

    大型の台風が来ているそうですね。お盆休みに入ろうというときに、なんと間の悪い。私も今週は帰省し、舅のお墓参りに行きます。関西のセミはシャーンシャーンとうるさいのですが、今年は東京でも鳴いていました。 欠席者の多かった8月の朝会。でもみんな律儀にメールで「今月読む」を知らせてきます。基、みんなまじめです。コメントは人談。到着順で掲載します。 仲野徹

    8月の今月読む本 その2 - HONZ
    benzina
    benzina 2014/08/13