これからも日は沈み続けるのだろうか。それとも、いったん没しかけた太陽は自らを大きく変革し再び昇るのだろうか。あるいは成熟国家として、ある程度の富を保ちながら退屈ではあるが緩やかで穏やかな社会を、長期間にわたり維持し続けるのだろうか。その答えは誰にもわからない。なぜなら歴史とは常に一つの方向にのみ流れ続ける川ではないからだ。それに、私たちがどのような社会を建設していきたいのかというコンセンサスが今の日本社会の間にあるとも思えない。 ただ、今の日本が大きな歴史の分岐点に立っているという認識は広く共有されているのではないだろうか。そんな時代の空気感こそが、昨今の「日本は素晴らしい国」といった内容のテレビ番組の氾濫の原因でもあるのだろう。本書の著者も間違いなく日本は素晴らしい国だと思っている。しかし、それは日本人が好み、日本贔屓の外国人も同意するような日本人特殊論に依拠してはいない。 それ故に、日