もう記憶の彼方に消え去ったかもしれないが、2003年わが国は狂牛病が発生した米国産牛肉とカナダ産牛肉の禁輸を巡って大騒ぎしていた。その後2006年小泉内閣により、輸入再開のための苦肉の策として、危険部位を除去した20カ月以下の牛肉に限る条件で禁輸が解除された。 いまだに予防できない なぜここまで大騒ぎしたかというと、現在もなおプリオン病に対して私たちは予防以外の方策を持たないからだ。 幸い、その後はこの騒ぎは静まったまま現在に至っているが、どこに新たなプリオンの種が眠っているのか分からない。実際、人間も含めて動物はプリオンと同じアミノ酸配列を持つタンパク質を作り続けている。偶然の引き金が、これをプリオン型の構造に変えるかもしれない。同じタンパクが形を変えるだけで病原性のあるプリオンに変わり、正常のタンパク質をプリオン型にたたみ直しつつ感染を拡大する。 これほど恐ろしいプリオン病も、感染
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