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ブックマーク / www.zusi.net (1)

  • 鼠の島 吉村昭 名作の舞台

    名作の舞台                                              □ 愛媛県・戸島 冬の宇和海は青く澄んで凪いでいた。定期船は夕映えの海を滑るように走った。目指す戸島は宇和島市の沖合にY字型にのびた小さな島である。戦後間もない昭和二十四年、この島でとんでもない騒動がもちあがった。どこからともなくやってきた何十万匹ものネズミの大群に島が占められてしまったのである。 よほどの騒ぎだったんだろう、このネズミ騒動をもとに吉村昭さんが「海の鼠」を発表、児童文学者の椋鳩十さんも「ネズミ島物語」を書きあげた。記録や関係者の話をもとにしたのだが、はびこるネズミの動きが活写され、ネズミ退治にいどむ人間たちの行動の空しさを改めて教えられる。筆者はちがっても二つの作品にはどこか相通じる心があった。 「海の鼠」は、台風に襲われ遭難した島の漁師たちの悲しみの葬列から書き始められた

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