「いやあ、図解は苦手なんですよ。絵心がなくて」── ITエンジニアの方に寄稿を依頼し、記事中の図をPowerPointなどで作ってもらうと、決まって出るセリフである。この人が書く記事なら読者ニーズが高いと考えて寄稿を依頼するのだから、エンジニアとして一流どころか、日本のIT業界を代表する超一流もいる。それでも、冒頭のようなことを言われるケースが圧倒的に多い。言葉の行間を補うと「自分は理科系なので、畑違いの芸術的センスを求められても困る」ということなのだろう。 はっきり言おう。大きな勘違いに基づいた、悲しい言い訳だと思う。寄稿執筆を含め、ITエンジニアに求められる図解力は決して絵心のような芸術的センスではない。ITエンジニアの中核スキルの一つ、物事を分析して構造化する「モデリング力」である。図解は苦手と言い訳するのは、構造化分析やモデリングができない、と自己否定しているに等しい。 図解の本質
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