今から7万年前、太陽系を通過するショルツ星と褐色矮星(手前)のイラスト。太陽(左後方)は、明るい恒星に見えただろう。この連星系は現在、20光年の距離にある。(ILLUSTRATION BY MICHAEL OSADCIW, UNIVERSITY OF ROCHESTER) 今から7万年前、太陽系の内側に、ある星が飛来した。現生人類がアフリカからの移動を始めようとしており、ネアンデルタール人も絶滅していない時代である。 学術誌『Astrophysical Journal Letters』に発表されたレポートによると、地球から1光年未満の距離をかすめ去ったその星は、史上もっとも接近した、恒星と地球のニアミス事故だった。 「ショルツ星」と呼ばれるその赤色矮星は、ふつうは薄暗くて肉眼では見えない。しかし、地球への接近時には、初期人類の目に、その燃え上がる姿を見せたことだろう。科学者が、ショルツ星の