By Nikola Ostrun にぎやかな都会に住む人は「たまには喧噪を離れて静かな場所に行きたい」と願うものですが、それは体が静寂を求めているからかも知れません。「静寂」が人間の脳に与える良い影響について近年、研究が進んでいます。 This Is Your Brain on Silence - Issue 16: Nothingness - Nautilus http://nautil.us/issue/16/nothingness/this-is-your-brain-on-silence 不快な騒音が心身を疲弊させることは経験則で理解できるところです。日常的に音があふれる騒々しい環境下で暮らしている人は、多くの場合、慢性的にストレスホルモンのレベルが高い状態にあると言われています。 騒音に限らず音は、耳の中にある通称「うずまき管」と呼ばれる部位・蝸牛(かぎゅう)が物理的な空気の振動
「今日あまりにも多くの会話の中で ”うつ病” という語を聞くことができる。そして心に破局が訪れたかのように語られている」。これはカナダのシンガーソングライターであり詩人、小説家である レナード・コーエンの言葉である。 従来の心理学では、うつや悲観的な捉え方を止めることができないのは考え方に問題があるからだとしている。例えば、うつ状態の人は将来について過度に心配し、否定的な見方で事実を歪めたり、どんなときでも物事を悲観したりすることがある。 こうした従来の心理学派によれば、「憂鬱」から完全に逃れる唯一の手段は、認知療法と呼ばれるうつ患者の考え方の習慣を変化させることである。 現在の主流はこうした見解であるが、また別の理論も存在する。「抑うつリアリズム」理論というものである。 これは、軽度から中程度のうつ患者に限られた理論であるが、うつ状態に陥るのは「誤った」考え方のせいではなく、ただ世の中を
Inc.:創造性を高めたい? それなら、専門家やコンサルタント、創造力の「グル」たちが喜んで手助けしてくます。創造性や発想力を開発すると称して、さまざまなコースやセミナーが開かれているのはご存知でしょう。こうした「自己啓発」に大金を払う価値は本当にあるのでしょうか? 米誌『The Atlantic』に創造性に関する興味深い記事が載っていました。偉大な芸術家がどのようにして素晴らしい作品を生み出すのかを論じたものです。著者のコディ・デリストラティ博士は、最近の研究で、創造性のどれくらいが生まれつきで、どれくらい後から身に付けられるかを調べたそうです。結論はこうなりました。基本的に、創造性を高める魔法は存在しません。たしかに、革新的な考え方を身につける訓練はあります。しかし、飛び抜けた創造性を発揮する人は、生まれつき脳が異なっており、彼らの創造性は訓練やテクニックで身につけたものではないのです
神経疾患の原因となる脳の部位を探るため、覚醒下の手術で患者にバイオリンを演奏してもらいながら脳に微弱な電気刺激を与えるという試みが行われました。 Violinist has brain surgery, fiddles throughout - CNET http://www.cnet.com/news/violinist-has-brain-surgery-fiddles-throughout/ 実際に行われた手術の様子は以下のムービーから見ることができます。 Violinist Still Making Music After DBS Surgery - Mayo Clinic - YouTube Roger Frisch氏が手の震えに気づいたのは2009年のこと。普通の人にとっても手が震えるというのは困ることですが、40年以上バイオリニストとして生計を立ててきたFrisch氏にとって
神経細胞を特殊な物質で培養して、原始的な「脳」を人工的に作ることに米マサチューセッツ州のタフツ大の研究チームがラットの実験で成功した。おおまかな構造が脳と似ており、衝撃を与えると実際の脳と同じように反応し、化学物質と電気信号を発する。脳の働きを解明するのに役立つという。チームは、この成果を生かして人間の細胞を使った人工脳作りも進めている。 人間の大脳は、糸状の神経線維が集まった「白質」の表面を、神経細胞が集まった「灰白質」が覆う二重構造をしている。 同大のデビッド・カプラン教授らは、絹でできたスポンジ状の物質にラットの神経細胞を含ませて培養すると、神経細胞がこの物質を足場にして成長することを発見。足場をドーナツの形状にして培養すると、ドーナツ部は灰白質、中央部は白質に分かれ、脳のような立体構造になった。 人間の脳は、外傷に対して化学… こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお
一方はわずか数ミクロンの範囲の画像。そして他方は数10億光年にも及ぶ範囲を写したものだ。 前者はネズミの脳内にある神経細胞であり、後者はコズミック・ウェブ(宇宙を形成する銀河同士のネットワーク)をシミュレーションした画像である。両者は全く別の自然現象であるにもかかわらず、驚くほどよく似ている。 脳内の神経細胞と成長する宇宙の構造はとても良く似ている 左側の脳内神経細胞の写真は米マサチューセッツ州ブランダイス大学の博士過程で、脳内において特定の神経細胞同士が接続するメカニズムを研究するマーク・ミラー氏によるもの。 薄くスライスしたマウスの脳を染色し、神経細胞同士の接続を可視化してある。この画像では、左側にある3つの神経細胞(赤いものが2つと黄色いものが1つ)同士が接続する様子を確認できる。 シミュレーションによる宇宙の画像は、数千もの星々や銀河、暗黒物質がクモの巣状に大銀河団(明るい黄色のも
By Michaël Korchia 他人との接触を断ち切って常に孤独でいることは肥満や喫煙と同じくらい不健康であることがわかっています。では、他人との関係を断ち切り、長期間の孤独を経験した人には一体どのような現象が起こったのか、詳細とその理由についてイギリスのBBCが公開しています。 BBC - Future - How extreme isolation warps the mind http://www.bbc.com/future/story/20140514-how-extreme-isolation-warps-minds 2009年夏、イランとイラクのちょうど国境周辺にあるクルディスタン地域でハイキングを楽しんでいたSarah Shourd氏は、突然イラン軍の兵士にスパイの疑いをかけられ逮捕されました。Shourd氏は逮捕から釈放まで、なんと1万時間も目隠し状態で監禁されたそ
IBMが脳からヒントを得た「ニューロシナプティック・コア」を持つ半導体を正式に発表。量産化のめどがたったことで、「ニューロシナプティックスーパーコンピューター」の実現が期待される。 米IBMは2014年8月7日(現地時間)ニューロシナプティックコンピューターチップ「IBM SyNAPSE」を正式に発表した。製造はサムスン電子の28nm製造プロセスを採用している。リアルタイムオペレーション時の消費電力は70ミリワット。100万個のプログラム可能な「ニューロン」と2億5600万個のプログラム可能な「シナプス」、そして毎秒毎ワット460億の「シナプティックオペレーション」を実現する。 SyNAPSEは、われわれがよく知るノイマン型コンピュータとは全く異なるアーキテクチャを採用しており、スケーラビリティにおいては実質的に無限の拡張性を持つものになる。一方、アーキテクチャが全くことなることから、その
ミュンヘン工科大学のTim Fricke教授が指揮を取った実験で、フライトシミュレーターに乗った被験者が操縦桿を握ることなく「思考の力」のみで飛行機を操縦することに成功しました。 Are Mind-Powered Drones Next? http://www.worldcrunch.com/tech-science/are-mind-powered-drones-next-/drones-brain-computer-future-telekinesis/c4s16081/ ハンズフリーで飛行機を操縦する実験の様子は以下のムービーで見ることが可能です。 Brain controlled flight - YouTube 実験で使用されたフライトシミュレーターはコレ。被験者にはあらかじめ操縦の練習を行わせるなどの措置は一切講じず、操縦方法については何も知らない状態で実験に参加してもらってい
いくつになっても、今より昔の方が頭が回ったと思いがちな人間だが、脳のピークはもう過ぎたとあきらめる必要はない。最近の研究によって、考え方を変えることで、脳内の配線を組み替え、脳の機能と健康を向上させられることがわかってきた。 知的能力を増強させることが科学的に証明された方法のなかには、日常的に取り入れやすく、かつ脳の健康に長期的な効果を発揮するものがいくつかある。そのうちのひとつが、マルチタスクをやめるということである。 世間的にはマルチタスクが偏重され、同時に複数の作業をこなせるほうが、より知的で有能だと見なされる傾向がある。なかには、マルチタスクは脳にとって良いトレーニングだと考えている人もいる。しかし、この種の思考は、あなたの健康を損なう危険があることをご存知だろうか。 この画像を大きなサイズで見る マルチタスクは精神を疲弊させる脳の浪費に等しく、放置すると早期の認知機能低下につなが
By Blythe D. 人間の感覚と脳での認知には一定のタイムラグがあり、「私たちが『現在』と感じていることは、実際には0.5秒前に発生したものである」という説を耳にしたことがある人も多いと思いますが、さらにその認識は直前のおよそ15秒間の間に知覚された情報が影響を与えあったものであるという研究結果が発表されています。 Your reality is 15 seconds in the making - Quartz http://qz.com/193708/your-reality-is-15-seconds-in-the-making/#/h/59390,1,59397,2/ (PDFファイル)Serial dependence in visual perception - Fischer_Whitney_NN_2014r.pdf https://whitneylab.berkele
被験者の頭部に取りつけられる脳波測定のための装置(2012年3月15日撮影、資料写真)。(c)AFP/JEAN-PHILIPPE KSIAZEK 【7月30日 AFP】近未来の企業は、広告や音楽、映画などの試験版を少数の試験者に見せて脳信号を観察し、大衆の反応を公開前に知り得ることが可能になる──29日の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された研究論文は、いわゆる「神経信号」に関する特異な実験の結果を示している。 研究は、コマーシャルやテレビ番組の試験版を少数のグループに見せて脳内の活動をスキャンすることで、より幅広い層の視聴者がどのような反応を示すかを予測できるとするものだ。研究者らは、「フォーカスグループ(情報収集目的で集められた対象グループ)」に対して政治的思想をテストすることにも応用できるとしている。 論文を発表した米スタン
楽器を演奏することで思考能力が高まったり、老化を遅らせたり認知症を予防したりできることが最近の脳科学の研究で明らかになっています。楽器演奏の効能を脳の活性化から解説するとこうなります。 How playing an instrument benefits your brain - Anita Collins - YouTube 古くから脳科学者の間では音楽が脳に及ぼす影響について、盛んに研究が行われてきました 数十年前に発明されたfMRIという装置の登場で、人間の脳の活動具合をリアルタイムで見ることができるようになり、脳の研究が一気に進むことになりました。 fMRIを使った研究により、本を読んでいるときや…… 計算しているときなど、活動によって活性化する脳領域が異なることが明らかになりました。 そして、fMRIで音楽を聴くときの脳を調べたところ…… 驚くほど広い範囲にわたって火花が飛ぶかの
読みながら、「うぁ、ここまで言っちゃっていいのか」と、その大胆でスリリングな主張に、何度もうなった。『脳科学は人格を変えられるか?(エレーヌ・フォックス)』(参照)である。 たとえば私が不用意にこんなことを言おうものなら、今の日本のネットの世界では、トンデモ、偽科学、科学リテラシー皆無といった罵倒を多数くらうんじゃないか、ともふと思った。その内容はどんなものか? これらの発見は、遺伝子は何世代もかけてゆっくり変化するという伝統的なダーウィンの進化論の概念とまっこうから対立するものだ。 「伝統的なダーウィンの進化論の概念とまっこうから対立」していいのか? いや、現代のダーウィンニズムは「伝統的なダーウィンの進化論」とは異なるから、それでいいのだ……ともいえる。だが、ここでは「遺伝子は何世代もかけてゆっくり変化する」という考えは、あっさり否定されているのである。そこまで言っていいのだろうか?
睡眠不足は身体に様々な悪影響を及ぼすことは知られていたが、どうやら記憶すら書き換えられてしまうこともあるそうだ。米カリフォルニア大学の研究チームが行った最新の研究によると、睡眠不足によって、偽の記憶が作り出される傾向が高くなるという。 心理学者のスティーヴン・J・フレンダ氏率いる研究チームは、睡眠時間5時間以下の被験者と睡眠が8時間前後の被験者に盗みなど”犯罪”が行われている写真を見てもらってから、その写真について書かれた誤った情報を読んでもらった。その結果、睡眠不足の人たちは、睡眠が足りている人たちよりも、詳かい部分の記憶が間違っていることが多かったという。覚えていないというわけではなく偽の記憶に書き換わっているのだ。 この結果から、睡眠不足により認識機能が妨げられると言えるが、睡眠と記憶の間にはギャップがある。よく眠れなかったときはたいてい、知覚や記憶がぼんやりと曖昧になることが多いが
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く